このAmazon BedrockにはMetaやOpenAIなど主要な企業が提供する生成AIの基盤モデルをつなぎ、用途を拡大できる柔軟性がある。複数の言語モデルに接続して、それぞれの得意分野に応じて使い分けることを想定している。例えばAlexa+の英語による流ちょうな自然会話は、今回のローンチ時点ではAnthropicによる基盤AIモデルであるClaude(クロード)との連係により実現した。

フレスコ氏は近年の急速な生成AIに関わる技術進化を受けて、アマゾンが目指すより高度なユーザー体験が実現できる見込みが立ったことからAlexa+が生まれたと振り返る。アマゾンは2019年ごろから実験的に英語による自然会話の機能をAlexaに持たせることに挑戦してきた。直近では2023年に、アマゾンが独自に学習させた大規模言語モデル(LLM)をベースにした生成AIチャット機能の「Alexa, let’s chat」もローンチしているが、地域は米国、言語は英語に限り静かにローンチした機能だったことからも広くは注目されてこなかった。
AWSの生成AIモデルを起点とするプラットフォームの上に、必要な機能は他社パートナーがそれぞれ強みを打ち出す生成AIモデルを組み合わせる、いわば「共創」のスタイルがAlexa+の成長を大きく促した。
Alexa+はスマートホームに強く、ユーザーを学習する
Alexa+には自然会話に対応することのほか、さらにに2つの特徴があるとフレスコ氏は語る。
「ひとつは現実世界のデバイスやサービスとつながり、ユーザーにアクションを返せることです。Alexaが得意としてきたスマートホームデバイスのコントロール、あるいはアマゾンによる音楽・ビデオサービスの再生操作などについてより細かなことをAlexa+はこなせます」
チャット機能もただユーザーとおしゃべりしたり、質問に対する詳しい検索ができるだけではない。コンサートやスポーツイベントのチケットを予約したり、Amazon.comでのショッピング、Uberの配車予約など、Alexa+がユーザーと会話を重ねながら必要とする情報や商品・サービスなどを提供する段階までアクションしてくれる。Alexa+の提供開始後には「ユーザーが日常生活で役立てられる何万ものサービスやデバイスとのシームレスな連係」も順次実現するとアマゾンは伝えた。さらにフレスコ氏が説明を続ける。
