テクノロジー

2025.03.17 13:30

被害総額9.5兆ドル、サイバー攻撃から企業を守るデータレジリエンス戦略

アルビンド・ニトラカシャプ|ルーブリック共同創業者兼最高技術責任者(CTO)

ルーブリックのデータレジリエンス戦略には、3つの支柱があるとニトラカシャプは説明する。1.リスク、2.脅威、3.レジリエンスとリカバリー(復旧)である。1.のリスクに当たる情報の漏えいを防ぐためには、アクセス権限の管理が必要だ。2.の脅威とは、攻撃者に価値の高い情報にアクセスされることだ「攻撃者は侵入し、実際に攻撃を仕掛けるまで6カ月以上も組織内にとどまる例もある」と、ニトラカシャプは自社調査を引き合いに話す。「検知した異常を顧客に報告し、それが漏えいだと判断された場合、シャットダウンなどの対応が取れます。それにより攻撃を未然に防いだり、より大きな攻撃に晒されたりすることを阻止できます」

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そして、3.ののレジリエンスとリカバリーとは、攻撃を受けた場合、どうすれば迅速にビジネスを再開できるかという復旧作業についてである。

近年、人工知能(AI)を使ったサイバー攻撃のリスクが高まっている。だがAI時代にあっても、ルーブリックが「『データ保護』の観点から製品開発することに変わりはない」とニトラカシャプは話す。サイバー攻撃が進化したところで、永遠の“イタチごっこ”だからだ。潮流に振り回されることなく、「データ保護」という創業の原点を押さえつつ、顧客の問題解決に取り組むことが使命だという。

「20年先の製品をつくったところで、顧客は利用しないでしょう。私たちは、顧客が今後3~5年の間にどこへ向かうかを理解しようとしています。顧客も進化するなかでどうプラットフォームを構築するか──。それが、クラウドとSaaSに対する私たちのアプローチであり、AI時代のアプローチなのです」

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企業文化「RIVET」が生むイノベーション

ルーブリックの共同創業者たちは起業にあたって、一緒に働きたい人たちの特長を抽出した。Relentlessness(意思の強さ)、Integrity(誠実さ)、Velocity(速さ)、Excellence(卓越性)、Transparency(透明性)の頭文字から「RIVET」と名付け、それを企業文化の中心に据えた。「私たちの目標は、最高の仕事ができるプラットフォームを顧客に提供することです。そのためにも、まずは従業員が必要としている情報を彼・彼女らに提供し、アイデアを思いついてもらうことが大切です」(ニトラカシャプ)

ルーブリックでは2016年以来、毎秋各国のオフィスを結んで「ハッカソン(ソフトウェアやサービスを開発し、アイデアの斬新さや技術の優秀さを競うイベント)」を実施している。24年12月に発表した、生成AIアプリを構築するAPIサービス「Rubrik Annapurna」もハッカソンから生まれた。「(ハッカソンは)イノベーションの源泉になっています。私たちの目的は『長く続く会社』をつくること。でも、創業者4人だけでは不可能です。会社をさらに発展させたいという意思をもつ人たちが必要なのです」(ニトラカシャプ)

評価額10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」を経て、2024年4月に米ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を果たした。中央のメガネの人物が、同社共同創業者兼CEOのビプル・シンハ。(Brendan McDermid / Reuters / Aflo)
評価額10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」を経て、2024年4月に米ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を果たした。中央のメガネの人物が、同社共同創業者兼CEOのビプル・シンハ。(Brendan McDermid / Reuters / Aflo)

ルーブリック◎2014年創業、米カリフォルニア州パロアルトに本社を置くサイバーセキュリティ企業。クラウドデータ管理およびデータセキュリティに強みがあり、オンプレミスからクラウド、SaaSまでさまざま環境におけるデータを保護・管理するプラットフォームを提供している。ビプル・シンハ(CEO)、アルビンド・ニトラカシャプ(CTO)ら4人で立ち上げた。2024年4月にニューヨーク証券取引所に上場している。

アルビンド・ニトラカシャプ◎ルーブリック共同創業者兼最高技術責任者(CTO)。米アドテク企業「Rocket Fuel(ロケットフュエル)」ではリアルタイム広告インフラチームを率い、オラクルではプラットフォーム「Oracle Exadata Storage」を立ち上げた。ルーブリックを創業した理由は、「長く続く会社をつくれると確信できたから」。

文=井関庸介/フォーブス ジャパン編集部 写真=カミーユ・コーエン

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