2. 深いつながりへの恐れ
逆説的だが、人によっては「つながりが足りない」からではなく「つながりすぎている」と感じることで浮気に走る場合がある。回避型の愛着傾向を持つ人にとって、深い感情的親密さは圧倒的な重圧であり、自立を失う不安や相手への過度の依存、長年守ってきた心の弱点をさらす恐怖を引き起こすことがある。
幼少期に愛情が条件付きだったり、不安定だったり、有害だったりする環境で育った場合「親密さは痛みと結びつく」と学習している可能性が高い。そのため、完全に理解され、深く感情を注ぐ「真の親密さ」がむしろ居心地悪く、不安をかき立てるのだ。
こうした場合、浮気は無意識のうちに距離を保ち、感情的コントロールを取り戻す手段となる。浮気は必ずしも他の人に関するものではなく、深いコミットメントに必要な感情的な露出から自分自身を守ることに関するものである。新しくそれほど深くない関係は、長期的な絆に必要な感情的な露出よりも「安全」に感じられることがある。
2013年にSocial Psychological and Personality Science誌に掲載された研究によれば、この恐れを克服し、愛着のギャップを埋めるには以下の2点が重要だとされている。
・時間をかけて信頼関係を築くことで回避傾向が和らぎ、親密さを安全なものと感じられるようになる
・パートナーの個人的成長や自立をサポートすると、愛着不安が軽減され、感情的な近さが窮屈に感じられにくくなる
真の安心感は「依存を避ける」ことではなく「愛と自立が両立し得る」と理解するところから生まれるのだ。