トランプ米大統領は2月25日、米国政府が富裕層の外国人向けの「ゴールドカード」というビザを500万ドル(約7億4600万円)で販売する計画だと記者団に語った。このカードは、従来のグリーンカードと同様に米国での永住資格と就労許可を与えるものだという。
トランプは、このカードを購入する富裕層の外国人が「多額の消費を行い、多額の税金を支払い、多くの人々を雇用する」ことによって米国に投資を行うことになると述べている。
このカードは今後の2週間以内に提供が開始される見通しという。また、トランプはこのカードの発行にあたって「議会の承認を得る必要はない」と主張しており、その理由にこのカードが市民権を与えるものではないことを挙げている。
ハワード・ルトニック商務長官によると、このカードは、米国で10人以上のフルタイム雇用を創出する事業を立ち上げる外国人投資家にグリーンカードを与える「EB-5プログラム」を置き換えるものになるという。
業界団体Invest In The USAが引用した国務省のデータによると、2024年度のEB-5ビザの利用は過去最多を記録しており、昨年7月の時点で少なくとも約1万3000件のEB-5ビザが発給されていた。ルトニックはEB-5を「まったくのナンセンスだ」と批判し、このプログラムがグリーンカードを安売りするものになっていると述べている。
トランプは、ゴールカードからの収益を主に米国の債務の削減に充てると述べており、100万枚のカードの発行によって数兆ドルの収益を見込んでいる。
このゴールドカードは、米国の市民権を与えるものではない。このカードは、グリーンカードと同じ権利を与えるもので、投票権や公職に立候補する権利、米国のパスポートなども与えられない。ただし、米国移民局(USCIS)によると、グリーンカードを取得後に、5年以上合法的な永住者であることが、米国の市民権を得るための最も一般的な道のりとなっている。
トランプは、ロシアのオリガルヒと呼ばれる新興の富豪らが、ゴールドカードを取得できる可能性があるとし、「私が知っているロシアのオリガルヒの中には非常に良い人々もいる」と付け加えた。一方、ルトニックは「申請者は当然ながら審査を受けなければならない」と指摘し、「私たちは彼らがすばらしい、世界クラスのグローバル市民であることを確認するつもりだ」と述べている。