人工衛星から見た火山の姿は、噴火についてまったく異なる視点をもたらしてくれる。米航空中局(NASA)はこのほど、地球観測衛星ランドサット8号が2月13日に撮影した、噴火中のイタリア・エトナ山の目を見張るような画像を公開した。衛星がとらえたのは驚くべき「火の川」だ。
エトナ山の最新の噴火活動は、2月8日の地鳴りを予兆に始まった。エトナ山が噴火するのは珍しいことではない。「しかし、吹き出す溶岩、激しい噴煙、長く伸びる溶岩流などは、エトナ山の火山活動を見守ってきた人々にとってもめったに拝めない壮観な眺めとなった」とNASAは指摘している。
宇宙から見たエトナ山
NASAは20日、地球観測情報を一般向けに提供しているウェブサイト「Earth Observatory(アース・オブザーバトリー)」に、「今日の1枚」として13日撮影の衛星画像を掲載した。雲の合間にエトナ山を真上からとらえたもので、吹き上がる噴煙の下に火山灰に汚れた雪が広がっている様子が見てとれる。実にドラマチックな光景だ。
「火の川(river of fire)」とNASAが呼ぶ真っ赤な筋は、肉眼で見えるものではない。「雪に覆われたエトナ山の斜面で溶岩の熱源を識別するために、自然色の画像に赤外線信号を重ねている」のだという。溶岩流の長さは、この画像の撮影時点で3キロ以上に及んでいた。米スミソニアン協会の全地球火山活動プログラム(GVP)の報告によると、溶岩流はエトナ山のボッカ・ヌオーバ火口の底にある亀裂から流れ出ている。NASAと米地質調査所(USGS)が共同運用するランドサット8号は、2013年に打ち上げられた。土地や水の利用状況を監視し、災害の評価と対応を支援するミッションを担っている。地球観測衛星は、火山から噴出する溶岩流や噴煙、火山ガスの追跡に役立つ。得られた情報は地上と上空の両方で人々の安全を守っている。



