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映画

2025.03.11 15:15

米国テレビ業界を震撼させたセクハラ問題に学ぶ│映画「スキャンダル」

映画『スキャンダル』より

映画『スキャンダル』より

タレントのスキャンダル発覚に始まったフジテレビの騒動は、80社に及ぶスポンサーのキャンセルを引き起こし、「フジテレビ崩壊の危機」とまで言われた。

その中で改めて浮き彫りになってきたのは、テレビメディアにおける女性アナウンサーの位相だ。

アナウンサー、キャスターとしての実力だけでなく、ルックスをはじめとした高い好感度を要求される立場は「女子アナ」ブームを生み出し、一方で週刊誌では芸能タレントのように持て囃された。フジテレビはそのブームの中心にあった放送局であり、女性アナウンサーの「女性性」がことさら重視され利用されてきた背景があって、この事件は生まれたと言っても過言ではないだろう。

テレビ局のこうした体質が生んだ実際の事件を描いた映画が、今回紹介する『スキャンダル』(ジェイ・ローチ監督、2019)である。2016年、FOXニュースの元女性キャスターが、CEOであるロジャー・エイルズに対しセクハラ訴訟を起こし、エイルズ退任のきっかけとなった。アメリカのメディア業界を震撼させたこの出来事は、翌年のハーヴェイ・ワインスタインの過去のセクハラ暴露騒動につながるものとして、重要な位置付けを与えられている。

映画はほとんどが実在の人物をモデルにしており、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの共演でも話題を呼んだ。

世代の異なる3人の女性の「違い」

この作品の興味深い点の一つは、同じテレビ局内でセクハラを受けた世代の異なる3人の女性の、それぞれの行動の違いを描いているところだ。三者が共闘する場面は、意外にもない。また周囲の女性たちの反応も一様ではなく、職場のセクハラ問題の複雑さが浮かび上がる。

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もうひとつは、2016年のアメリカ大統領選挙に出馬したドナルド・トランプが登場するという点だ。これは、本作の主人公の一人であるFOXニュースのアンカーウーマン、メーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)とトランプとの間に、一年にわたる確執があったためである。トランプとのシーンは、当時のニュース映像をドラマに巧みに組み込むかたちでつくられている。

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文=大野左紀子

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