メーガン・ケリー、ロジャー・エイルズ、ドナルド・トランプの絡みは、冒頭近くに描かれる。
アメリカのケーブルテレビで視聴率No.1を誇るFOXニュースは、保守派メディアの牙城でもあるフォックス・コーポレーションの巨大なビル内にある。創業者でCEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)は歴代の共和党候補と懇意の仲で、帝王の如く君臨している。

Academy Award® is the registered trademark and service mark of the Academy of Motion Picture Arts and Sciences.Bombshell © 2019 Lucite Desk LLC and Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved. Artwork & Supplementary Materials © 2020 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
トランプの女性スキャンダルを報じたメーガンに対し、「トランプが必要だ」とロジャーは釘を刺す。更に、メーガンの「トランプ&女」と書かれた分厚いファイルの映像と、「君はフェミニストなのか?」と咎めるロジャーの台詞が続く。メーガンの番組プロデューサーのギルもまったく同じ問いを口にしており、この職場でフェミニストだと思われたらアウトであることを示している。
メーガンの大胆なワンピースに、すれ違いざま「いいね。好みだ」と軽口を投げる男性職員。やれやれという表情で受け流すメーガン。このテレビ局では”そういう雰囲気”が当たり前らしいということがわかる描写だ。
そんな中メーガンは、過労とストレスを押して出演したテレビ討論会で「女性の呼び方」について辛辣に切り込み、トランプは激怒。その夜ツイートに批判を書き連ね、以後彼女はトランプ支持者からの誹謗中傷に晒されることになる。局内では実力・人気ともにトップのメーガンの難しい立場が見えてくる導入部は、たたみかけるようにスピーディだ。
「出世したい」ケイラの行動
本作では、メーガン・ケリーを中心として、その上の世代のグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)と、下の世代のケイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)が対照的に描かれていく。ちなみにケイラは架空の人物である。
過去にロジャーからのセクハラに抵抗したグレッチェンは、朝の人気番組を降板させられ、昼間の地味なニュースのキャスターに甘んじている。訴訟を考えている彼女に対し、二人のベテラン弁護士の反応は、最初は思わしくない。
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この場面では、過去に上司からの誘惑をやんわりと拒否する女性レポーターの再現映像が挿入されており、上司への言葉を選びつつ彼女の心の声がそこに重ねられるという、なかなか皮肉な演出がされている。
クビになったこのレポーターの例からして、FOXを訴えても勝つ見込みはないと弁護士から告げられたグレッチェンの周到な計画は、後半で明らかになっていく。


