公共サービス全般への影響
全米の国民は、公共サービスの質の低下を通じて、連邦政府職員削減の影響を肌で感じることになるだろう。そうした影響としては、労働安全基準の順守、緊急対応、保健サービスなど、さまざまなものが含まれる。雇用法弁護士のデビットは「連邦政府からの頭脳流出は、米国民がこれまで享受してきた政府サービスの質とスピードを損なうだろう」と警鐘を鳴らす。「政府機関はすでに、労働問題の解決や救済に関して、サービスの制限や待機期間の延長を発表している。政府職員のさらなる削減は、こうした悪影響をさらに助長する」
大局的に見ると
米連邦政府は、300万人を雇用している。かなりの規模であるとはいえ、雇用人数は1970年代からおおむね横ばいであり、したがって、全米の労働者人口に占める割合は縮小し続けてきた。カーネギーメロン大学のテッパー・ビジネススクールで教育担当上席副学部長を務めるローレンス・エールズ教授(経済学)は、Eメールでそう指摘した。・市場への逆風
エールズ教授によれば、政府支出は経済に対して、小規模ながら正の乗数効果をもたらす。逆に、政府職員の削減と、これに呼応した政府支出の削減は「景気後退につながる逆風をもたらすだろう。雇用市場がすでに勢いを失いつつあるなかで、こうした負の効果はさらに強まるだろう」・全米各地への影響
連邦政府職員のほとんどは、ワシントンD.C.都市圏以外に暮らしている。そのため彼らの退職は、彼らが暮らす地方コミュニティにも影響を与える。スピッグル法律事務所の労働・雇用法弁護士J・トーマス・スピッグルは、Eメールでこう述べている。「連邦政府職員の85%は、ワシントンD.C.都市圏以外に住んでいる。全米各地に暮らしているのだ。このような安定した、概して高給な職は、地元経済を下支えしてきた。職員の大量解雇は、全米各地で地元経済に悪影響を及ぼすだろう」
・経済への懸念
連邦政府職員の削減は、米国経済全体に停滞圧力をもたらす可能性もある。カーネギーメロン大学のエールズ教授は、以下のように述べる。「支出の変化による短期的影響に加えて、長期的影響は予測困難だ。多くの連邦政府職員が担ってきた、不可欠な業務の重要性に目を向ける必要がある。まだ不確実だが、連邦政府職員の全面的削減は、経済の重大な阻害要因となるおそれがある」
連邦政府の縮小と、これにともなう多数の雇用喪失がもたらす予期せぬ影響は、突如として職を失った人々にとっては暗雲かもしれない。しかし、こうした元職員の専門性やスキルを活用したい企業にとっては、宝の山にもなり得る。
(forbes.com 原文)


