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サイエンス

2025.02.21 08:00

グーグル、科学研究を飛躍的に進展させる「AI共同研究者」を発表

Shutterstock.com

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科学者は、新たな協力者との出会いに備えよう。

グーグルは米国時間2月19日、人間の研究者の発見を加速させることを目的とした「AI Co-Scientist(AIコサイエンティスト、AI共同研究者)」を発表した。初期テストの一例として、10年以上にわたり科学者を悩ませてきた科学的難問をこのシステムが解決できたという。

AI Co-Scientistは、新規の検証可能な仮説の生成や、詳細な研究概要、実験プロトコルの作成を行うよう設計されており、科学や生物医学の研究をより迅速かつ効率的に行うことを目指している。

このツールは、グーグルのチャットベースのAIアシスタントである最新版「Gemini 2.0」をベースとしている。OpenAIのChatGPTなど、他のチャットベースの大規模言語モデルと同様にユーザーの指示に応答する仕組みだ。AI Co-Scientistを使用する際には、人間の科学者が自然言語で研究ゴールを指定する。さらに、研究者自身のアイデアや提案を入力し、フィードバックやレビューを行うことも可能だ。

グーグルは新システム発表時のブログ記事で「AI Co-Scientistは、専門家が研究内容を集約し、作業を洗練するのを支援する協力ツールであって、科学的プロセスを自動化することを意図したものではありません」と述べている。これは、さまざまな分野で人工知能が人間に取って代わるのではないかという懸念を和らげる意図があるとみられる。

現時点において、「AI Co-Scientist」がシステムの唯一の名称だ。このツールは、研究者が不慣れな分野にわたる詳細な文献を検討するのにかかる時間を短縮するなど、さまざまな方法で人間を支援することを約束している。また、知的活動を行う科学者が実験的に検証すべき仮説を直接提供することもできる。

AI Co-Scientistは現在、グーグルの新たな「Trusted Testerプログラム」に参加している研究者のみが利用できると、同社の広報担当者がメールで明らかにしている。現在約20名の主要な研究者がこのプログラムに参加しているが、興味のある人はオンラインで申請できる。

同じ仮説に、より短い時間で到達

初期のテスト利用者はすでに有望な結果を得ている。University College London(UCL)の科学者たちは10年にわたり、抗生物質に耐性を持つ耐性菌を研究し、特定の細菌が抗生物質耐性感染症(広範にわたる健康上の課題)の原因となることを証明してきた。

抗菌薬耐性の拡大を抑制しようとするFleming Initiativeチームとの関係を持つグーグルは、UCLのチームに同じ問題をAI Co-Scientistへ与えてみるよう依頼した。
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翻訳=酒匂寛

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