野生群生を超えたウォレミマツの未来
2005年、ウォレミマツの一般販売が開始され、この先史時代の驚異を個人や組織で所有し育てることが可能になった。その目的は単純だ。自然保護関係者たちは、ウォレミマツを一般家庭の裏庭や植物園に普及させることにより、違法な密採のリスクを下げつつ、脆弱な野生生息地の外で、種が将来にわたって存続できるようにしたのだ。商業パートナーシップは、公式には2010年に終了したが、世界ではいまも多くの若木が栽培されている。いまやウォレミマツを育てることは、単なるレア物の所有を超えた、小さくとも意義深い自然保護の営みだ。

自然保護関係者は、群生の綿密なモニタリングを実施している。そして、バイオセキュリティ手順を徹底して、木々を病気や気候変動、山火事から守っている(2019年から2020年にかけて発生したオーストラリアの山火事では、数本のウォレミマツが焼失した)。これらはどれも、ウォレミマツにとって慢性的な脅威だ。
深い谷の奥に隠されていた木の発見から始まったウォレミマツの物語は、いまや、現代における最も驚異的な自然保護のサクセスストーリーの1つへと発展した。この種は、いまも野生では絶滅寸前だが、保全努力により、野生生息地の外での存続は確かなものとなった。
ウォレミマツは現在、世界各地の庭園や研究施設、保全区域で生育している。野生での生存はいまも綱渡りの状態だが、かつて恐竜と共存した木としては、上々の復活劇と言えるだろう。
(forbes.com 原文)