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2025.03.24 08:30

「これからは中小企業の時代」 スモール・ジャイアンツたちのブレイクスルー

Shutterstock.com

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規模は小さいけれど大きな価値をもつ企業「スモール・ジャイアンツ」。『Forbes JAPAN 2025年4月号」では、この革新的な中小企業を特集した。そこで紹介している7社について、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄がその大きな可能性について解説した。


私が「これからは中小企業の時代だ」と考える理由は、3つあります。まず変化が激しい時代に、サイズが小さく小回りが利く中小企業は、経営者次第で大胆に自らを変革し、イノベーションを起こせる可能性がある。大企業が陥りやすい「経路依存性」(編集部註・制度や仕組みが過去の経緯や歴史に縛られる現象)のしがらみを脱しやすい。また、日本の中小企業はオーナー企業が多いため、トップダウンで一気に変えられる。

2点目は、オーナー企業やファミリービジネスが多いため、長期ビジョンを立てやすい。大企業のCEOの任期は3年から長くて6年ですが、その短い任期の間に30年先を見据えて組織を変化させていくのは難しい。

3点目は、日本の中小企業はリアルな現場で実際に技術をもって手足を動かしている点です。特に地方でその傾向は強い。大企業には無駄にバックオフィスの層が厚いですが、これら中間層の仕事はこれからAIにどんどん置き換わっていくでしょう。

冨山和彦さんが昨年『ホワイトカラー消滅』(NHK出版)という本を出されて、私は各所でおすすめしているのですが、そのなかで、デジタル革命によって、大量生産の組み立て工程が単純化して付加価値がなくなり、上流のデバイス部門やエレメント部門、設計工程などと、下流の販売部門やサービス部門、顧客接点業務などの付加価値が高くなるスマイルカーブ現象について紹介されています(下図を参照)。製造業でよく言われる「スマイルカーブ現象」だが、このカーブが仕事全般と重なってきている。面白いことに、中小企業は上流と下流の付加価値の高い部分に人材が偏っているため、イノベーションが期待できる。

製造業でよく言われる「スマイルカーブ現象」だが、このカーブが仕事全般と重なってきている。面白いことに、中小企業は上流と下流の付加価値の高い部分に人材が偏っているため、イノベーションが期待できる。

今は仕事全般にもこれが起こっているわけです。上流は答えがないところで決めていく経営の仕事。下流はリアルな現場の仕事。中流は上流からきた情報を整理して下流に流す、下流から上がってきた現場の情報を整理分析して上流に上げる、いわゆる情報の収集、整理、処理、報告のような仕事ですが、どう考えてもこれはAIが強い。日本の大企業の多くがこの変化についていけないなか、中小企業は、もともと中間層は薄く、人手は足りないが、上流と下流の人材は押さえている。だから、リアルとデジタルをうまく組み合わせると一気に変革できるのです。もっとも、経営者の才覚によるところは大きいでしょう。

いい経営者にはある程度共通点があります。圧倒的にビジョナリーでパッションがある、ということ。そして、好奇心がとても強い。また、自分が決めたことをやり抜くタフさがある。それから4つ目はなんといっても、「好かれる」こと。やはりチームでやるものなので、愛されていないとできないですからね。

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構成=岩坪文子 編集=松﨑美和子

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