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働き方

2025.02.24 17:00

心理学者が明かす「特別待遇」であなたを縛るキャリアの代償

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現在の役職や会社名を出さずに自己紹介することに不安を感じる人もいるだろう。だが真の充実感は外部からの評価だけではなく、自分が納得することで得られるものだ。「退職したら周囲からどう思われるだろうか」と考えるのではなく「自分はどう思うか。自分が本当に望んでいることは何なのか」と自問すべきだ。

自分がもう求めていないアイデンティティを手放すことは損失ではなく、もっとやりがいを感じる新たな道を歩む機会だ。

2. 感情の不協和が生じる

職場では責任感と意欲を持って仕事に臨むことが期待される。だがそうした前向きな気持ちが失われ、金銭的な理由だけで仕事をしている場合、期待に応えることは難しい。退屈や不満、時には憤りといった本当の感情が、見せなければならない自分のイメージと一致しない場合「感情の不協和」が生じる。

感情の不協和は、自分の本音と表に出す必要のある感情が相容れない場合に起こる。黄金の手錠で束縛されて仕事をしていると、次のようなことが起こる。

・興味を失っている仕事に対して無理に自分を奮い立たせる
・意欲は萎えているのに会議に熱心に参加しているふりをする
・心の底では次のボーナスが出るまでの日数を数えているが、熱心に仕事に取り組んでいるように見せる

だが長期的に見ると、本当の感情を抑え続けると疲労やストレス、さらにはバーンアウトにつながる。

専門誌『アドミニストレイティブ・サイエンス』に2022年に掲載された研究では、従業員が心からのものではない感情を表に出さなければならないと感じるほどに、仕事へのやる気が低下することがわかった。すでに負担を感じている従業員の場合、感情の不協和がやる気に及ぼす影響はさらに悪化する。

給料は良くても精神的に消耗する仕事では、身動きが取れないと感じるかもしれない。経済的には安定していても、精神的に疲れ果てているというのもあり得る。自分のキャリアに大きな不満を抱きながらも退職をためらうのは感情の不協和があるからだ。

気持ちの折り合いがつかない状態はエネルギーを消耗させ、自分が本当に望むものを認識することが難しくなる。何年も不満を押し殺していると、これが仕事に対する本来の感情なのだと自分を納得させやすくなるかもしれない。

だが、仕事を逃れられないもののように感じるべきではない。真に問うべきは「この仕事を続けていけるだろうか」ではなく「この仕事を続けることでどんな代償を払うことになるか」だ。
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翻訳=溝口慈子

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