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2025.02.18 14:15

無人の自動運転はシニア社会において最終解ではない

oorphan / Shutterstock.com

私が社会人になった1980年代後半ではほとんどすべての鉄道会社には有人の改札がありました。その後、磁気素材を塗布した切符や定期券の導入により無人化となりましたが、磁気粉末等により自動改札機の頻繁な清掃やメンテナンスが必要だった状況だったこともありました。その後、電波を授受する方式による非接触カードが導入され、無人改札のスループットが大幅に改善し、昔ほど改札で人があふれるという光景はみなくなりました。
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改札の無人化により、駅員は車椅子やサポートの必要な乗客の乗降支援を行えるようになりました。駅間での連携も素晴らしく、乗車した車両番号と扉位置を降車駅にも伝え、車椅子の利用者が問題なく乗降できる様になっています。

今後、老齢人口比率が高くなることで、サポートの必要な乗客も増えこそすれ、減ることはないと思われます。世界発の無人運転となった神戸市の三宮駅とポートアイランド間で運行を開始したポートライナー以来、無人運行の電車を運行する路線も増えました。駅員の方の配置も最小限となっており、乗降サポートも容易ではないと考えられます。

車や電車といった私たちのモビリティ手段の基本と言える交通手段において、シニア世代の乗降や荷物の積み下ろしを支援する人の不足が深刻になってゆきます。幸い、2025年1月にラスベガスのCESで半導体で世界一の規模となったNVIDIA社のキーノートでロボットにスポットライトが当たったこともあり、製造ラインでのロボティックスに留まらず、民生用のロボット(特に人型のヒューマノイド)の今後の展開に注目が集まっています。

ロボティックス+AI+おもてなしのデジタル化が必須

こういった未来像を想像し、創造していくときに日本が優位なポジションを取れる可能性があると見ています。単なるロボットハードウェアのみでは十分なニーズと性能を満たさないのは明らかで、そこにシチュエーションを理解し、正しい挙動を行うAIが必須となります。
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また人の支援を行う事から所作の柔らかさやスムーズさも重要な要素と考えられ、日本がこれまで他国に抜きんでているとされる「おもてなし」要素をソフトウェアとして実装していくことでロボティックス・AI・おもてなしの三位一体の価値提供が実現できると見ています。

現時点ではまだロボティックスとAIがそれぞれ独自の進化を見せているものの、フィジカルAIに注目があつまりつつある状況を鑑みると、ロボティックスとAIを融合させるプロデューサー的な起業家・事業者の誕生が待たれています。1999年に自律型エンタテインメントロボット AIBO を登場させたり、2000年に二足歩行ロボットASIMOを発表してきた日本企業には、ロボティックス技術の蓄積もあり、今一度、各社に眠っているロボティックス技術者の腕を借りる時が来たのでしょう。

そして、日本がかつて栄華を誇ったゲーム産業が蓄積してきた知見を投入し、人口減少に伴う様々な問題・課題を解決する民生ロボティックス産業の新創造に期待しています。そして、この民生ロボティックス産業が産まれ、日本のシニア社会を救う産業になれば、現在ではまだまだ平均年齢の若い国々も早晩シニア社会化していくのは間違いないので、将来の日本の輸出産業の柱の一つとしてゆきたいと考えています。

文=茶谷公之

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