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イタリアとドイツの日本人女性から学ぶ、「文化の見せ方」の匙加減

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移川みどりさん

移川みどりさん

ある時、ミラノのマッサージ学校の存在を知り、講座を受けてみました。そこで気づいたのは、イタリア人のマッサージのスキルがあまりに低いこと。講師から「プロではないのか」と驚かれ、即、一緒に教えないかと誘われたくらいです。移川さん自身、他人のマッサージを受けるのが好きではないため、イタリアのマッサージレベルに不案内だったのです。

次第に友人や同僚にマッサージを頼まれるようになります。はじめは職場で休憩時間に軽く、ときに友人の自宅で時間をかけて。こうしてマッサージが自分の職業人生を変えるかもしれないと感じ始めるのです。

タイ、フィリピン、台湾などのアジア人のスキルは比較的高く、小さい頃から家庭でマッサージをした経験があるということも知ります。また、2010年代前半はボディマッサージが主流で、移川さんが関心の強いフェイスマッサージはまだ市場が成立していなかったので潜在的需要を感じました。 

数年を経て移川さんはマッサージ師として正式登録を行い、副業に向ける時間を増やしていきます。日本人は基礎スキルが高く、かつ、若く見えることがイタリア人からの憧れを得やすいことが有利に働くと気づきます。

ミラノの5つ星ホテルに履歴書をもって行くと、「明日から来てもらえますか?」とオファーを受けます。10分のマッサージテストで即断されたようです。もちろん、彼女のファッション界で生き抜いてきたコミュニケーション能力の高さもあるでしょうが、フェイスマッサージの需要がはっきりしました。

副業を経て、フェイスマッサージ師を正業とし、自らのテクニックを「KonMIDO」として商標登録。そこで、それまでに築いてきたネットワークに、それなりの金額を払うのに躊躇しない人たちが多かったことが資産となります。この人たちは口コミ力があります。お客さんのインスタフォロワー数が何十万人、何百万人であるケースも少なくない。プロのモデルの女性も彼女のファンです。

プロモデルVita MirさんもKonMIDOのファン

モデルVita MirさんもKonMIDOのファン

ぼくは20年以上前から移川さんとおつきあいがありますが、本稿で彼女を取り上げようと思ったのは、インスタのアカウント Konmido.by.mido の変化に興味を持ったからです。
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文=安西洋之(前半)・前澤知美(後半)

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