中高年の真面目さと「近い」距離感
一方、リカレント組は真面目に学び直しをしたくて大学へ通っているので、座る席も比較的前方、自らお金を払って貴重な時間を使ってわざわざ学んでいるのですから授業中に寝るなんてこともほぼありません。情報共有にも熱心で、授業の取り方やレポートの提出手続き方法など、入学してすぐのあまり理解ができていない方への懇親会を開いてくれるグループがあり、近い距離でのサポートに力を入れてくれています。
ただこの近い距離感は時に間違えて使われることも多く、年下の先生への馴れ馴れしさや、時にタメ口で会話をする人も。「年上」を「目上」と勘違いしている様子が見受けられたり、わからない方へ断定的な決めつけ感が出るアドバイスになったり。「良かれと思って」が相手には届いていないこともしばしばあります。
それぞれのゴールに向けて——
20代の学生の多くは、卒業もですが、就職先内定がゴールでもあります。
インターンが終了した、第一希望の企業の面接が無事終わった、と話す学友は眩しくもあり聞いていて嬉しくもあり、過去の知識と経験の延長線上で仕事をしている、マンネリな自分が恥ずかしく、反省する機会を得られたりもします。
春に入学して慣れない学びに奮闘し、やがて年が明け、1年生最後の授業と試験を無事終えました。1年なんてあっという間に過ぎてしまうという感覚は、若い時よりも確実にスピードアップしている現実。4年なんて本当に一瞬で過ぎてしまうと想像しながら、このリカレントの時間の貴重さを日々感じています。学問以外に、今の時代を知り今の老若男女の感覚を知れたのは、いざ動いて行動して得た賜物だと感じます。
4年後私は何を思って何をしているのか、リカレントのゴールはどこなのか、学ぶ日はこれからも続きます。

坂口優子(さかぐち・ゆうこ)◎料理家。東京、大阪の2拠点で料理教室を開催するほか、企業向け社食弁当の提案・提供、レシピ開発も。雑誌、メディア出演多数。


