キャリア

2025.03.05 15:15

あえて「124単位取得」でリカレント。48歳女子大生はなぜ20代学友と学ぶか

法政大学で、学友たちと筆者

「スクーリング」の魅力とは!

通信教育課程といっても、私は実際に大学へ通って学ぶ「スクーリング」を最大に活かし、キャンパスで学ぶ選択をしています。その理由は、その学問のプロに直接学びたかったからであり、入学しなければ出会えなかった人々(教授や先生だけでなく老若男女の学友達)との時間を共有したいという気持ちが強くあったからです。

法政大学キャンパスで

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法政大学キャンパスで(撮影=石尾怜子)

通信教育課程から入学した分、20代の若者以外に年齢、職業において幅広く、ユニークな経歴の方も多いというのも魅力の一つ。起業して数十人の従業員を抱えている経営者や、今一度文学をしっかり学びたくて入学したライター、税を学び資格取得を目指す若い消防士、子育てがひと段落した主婦層、70代の後期高齢者など、様々な方達が自分の目標を持って教室に集まり学びます。

今学ぶ若者達と、それぞれの生き方の中でリカレントの時期を迎えた大人達が混在している世界で、教養以外に多くの気づきがありました。


法政祭(2023年)で

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若い世代の距離感は実に絶妙

老若男女が溢れる教室で学ぶ中で、今の20代は良い意味で深く入り込まない、付かず離れずの距離感の保ち方が上手いように思います。これを中高年は「付き合いが悪い」「敬意が足りない」など感じるかも知れませんがそれはおそらく間違いです。

一家に一台の電話で連絡を取っていた時代は自然に保ちたい距離が守れましたが、一人一台のスマホでジャンルを問わないパーソナルスペースを手にいれ個で動ける今の時代では、この感覚が逆に必要。自由で生きやすい距離感のために若い世代が思わず知らず培った、賢い距離の取り方なのではないでしょうか。

そして距離感を保ちながらも優しくフレンドリーで、知っている情報は惜しみなく教えてくれて、そこに押しつけや恩着せがましさがありません。「○月になったらシラバス出るから履修登録考えようね!」と軽く連絡をくれる学友。シラバスが何月に出るのか理解していない1年生のリカレント生に的確に日程を伝えてくれてさらりとアドバイスをくれる。これもそれぞれが保つ距離感からなるものなのでしょう。

一方で、教室内に数十人、時には100人越えの授業もある中で、さぞかし出会いも多いはずが、恋愛になるとマッチングアプリから。確かにパートナーがいるのかいないのか、パートナーを欲しいと思っているのかもわからない隣に座る学友よりも、条件や情報があらかじめわかるアプリの方が話は早く、無駄に傷つくことも少なく合理的かもしれません。そこを探りながら距離を縮めていくなんて発想はもう古いのかもしれません。

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文=坂口優子 編集=石井節子

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