米国のナスダックと香港市場に上場するバイドゥは、13日の声明で、テクノロジーの継続的な進化とコスト削減によって、同社のAIチャットボットの「アーニー」を4月1日から無料で提供すると発表した。無料化される機能には、強化された検索機能や多言語での会話などが含まれるという。
バイドゥは、2023年11月以来、「アーニー」のプロフェッショナル版を月額49.9元(約1045円)から提供していた。北京の投資銀行Chanson & Coのシェン・モンは、バイドゥがこの無料化によって、中国の競争の激しいAI市場でシェアを伸ばせる可能性があると述べている。
バイドゥのチャットボットは、昨年11月時点で4億3000万人の利用者を獲得したとされていたが、最近はDeepSeek(ディープシーク)のような同国内の競合に後れを取っている。
バイドゥはまた、アップルとの提携で中国で販売されるiPhone向けにAIサービスを提供するという貴重な機会をアリババに奪われた。アリババの蔡崇信会長は、13日にドバイで開催された世界政府サミットで、この提携を正式に発表した。
バイドゥの競合チャットボットのほとんどはすでに無料で利用可能だが、多くの場合、その基盤となるAIモデルへの開発者や企業のアクセスを有料としている。バイドゥは、自社のチャットボットを無料化することで、ユーザー数を増やしてより多くのデータを集め、AIモデルのトレーニングに役立てる可能性があるとChanson & Coのモンは述べている。
しかし、上海の調査会社86Researchのチャーリー・チャイは、慎重な見方を示している。
「ここで注意すべきは、バイドゥのボットが依然として厳しい立場にあることだ。アーニーボットの利用者数は、DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)が3000万人以上のDeepSeekに大きく後れを取っているだけでなく、バイトダンスの『豆包』やMoonshot AI(月之暗面科技有限公司)の『Kimi』にも劣っている」と、チャイはコメントした。「バイドゥは、他社を圧倒するようなサービスを提供しない限り、この分野で大きくシェアを伸ばすことは難しいかもしれない」と彼は続けた。
(forbes.com 原文)