「ダコタがこの企画を持ってきてくれたとき、私は興奮しました。脚本を読んだ瞬間、贈り物をもらったような感覚で、とても美しい作品だと思いました。私たちは散歩をしながらこの映画について話し、その後、クリスティとも連絡を取りました。最初から本当に共同で進めるプロセスでした」

「ジョン・F・ケネディ空港を出ると、見えるのはコンクリートと工業地帯ばかりですが、495号線を降りるとすぐに視界が開け、より広々とした明るい風景になります。そしてマンハッタンに近づくにつれ、その変化はさらに顕著になります。
登場人物たちは、最初は見知らぬ者同士ですが、マンハッタンに近づくにつれて次第に多くのことが明らかになっていきます。この映画では、このドライブが『無言の第三の登場人物』のような気がして、その特有の体験を大切にしたいと思いました」
こう語るクリスティ監督だが、タクシーがマンハッタンの街路を走るのは、最後の15分。この時間こそが、このワンシチュエーション劇の最も重要な部分ともなっている。空港からマンハッタンのミッドタウンまで、実際の走行時間とほぼ重なる90分超、そういう意味ではリアルな映像体験でもあるかもしれない。