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映画

2025.02.16 10:15

映画「ドライブ・イン・マンハッタン」タクシー車内でのスリリングな会話劇

女性客を演じるダコタ・ションソン(右)とドライバー役のショーン・ペン(左)、2人の会話で物語は進む © 2023 BEVERLY CREST PRODUCTIONS LLC. All rights reserved.

タクシーは、途中、交通事故のあおりを受けて、しばらく停止を余儀なくされる。そして、ここで2人の会話劇はさらに新たな展開を見せ、互いのパーソナルな物語にまで踏み込んでいく。心憎い演出だ。しかも、ラストにはちょっとしたサプライズも用意されているのだ。

90分超のドライブでマンハッタンのミッドタウンに到着

90分超のドライブでマンハッタンのミッドタウンに到着© 2023 BEVERLY CREST PRODUCTIONS LLC. All rights reserved.

「ドライブ・イン・マンハッタン」の監督はクリスティ・ホール。ニューヨークで劇作家として活動していたが、映像の世界への興味から、舞台劇として構想していたこの作品を脚本として執筆。これが高く評価され、ネットフリックスのドラマシリーズ「ノット・オーケー」(2020年)などの脚本も手がける。

その後、ブレイク・ライヴリー主演の映画「ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US」(2024年)の脚本と製作も担当。今回の「ドライブ・イン・マンハッタン」では、映画監督としてもデビューを果たした。

クリスティは、それ以前も自分が脚本を手がけた作品で監督を希望したことがあったのだが、願いは叶えられず、「ドライブ・イン・マンハッタン」の脚本がこの作品で主演もしているダコタ・ジョンソンのもとに届いたことで事態が動き出したという。

ダコタは、脚本を近所に住む友人のショーン・ペンに渡し、彼もすっかり気に入ってドライバー役での出演が決まり、監督もクリスティがふさわしいということになったという。自らの脚本を監督したクリスティは、このドライバーと女性客の会話劇について次のように語る。

「自分とは異なる考えを持ち、異なる話をし、異なる行動をとる人と繋がりを持つということ自体、消滅しつつありますが、その人に寄り添い、耳を傾けることを厭わなければ、アカの他人があなたの人生を変えることができるのは確かなのです」

タクシー車内でのワンシチュエーション劇ということで、カメラがとらえるのはダコタ・ジョンソンとショーン・ペンの顔のアップと上半身のショットが多いのだが、2人の演技は細部まで入念に表現されている。実は、撮影前にはショーンはダコタとクリスティを自宅に招き、手づくりのバックミラーを設置してリハーサルを行ったのだという。ダコタが語る。

「ショーンはガムテープと箒と手鏡を使って、即席のバックミラーをつくったのです。彼は私とクリスティに背を向けて座り、私たちは彼のリビングルームにいました。過度なリハーサルは行わず、主に映画について話し合い、台本を読み合わせも行なってセリフの流れがスムーズかどうかを確認しました」
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文=稲垣伸寿

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