ファッション

2025.02.27 14:15

東京・銀座に新店舗オープンでさらに拡充する──ブリオーニCEOが語る「スローラグジュアリー」の本懐

ブリオーニCEO メディ・ベナバジ

ブリオーニCEO メディ・ベナバジ

今年創業80周年を迎え、日本のフラッグシップストアをリニューアルしたブリオーニ。メディ・ベナバジCEOが再定義する、新時代のラグジュアリーに注目したい。


インターネットの登場により、あらゆる面でスピードが求められるようになった現在。トレンドが現れては消えるファッションは最たる例だが、その対極ともいえる「スローラグジュアリー」というテーマを掲げるのがブリオーニである。そこにはどのような思想が込められているのだろうか。「ブリオーニは1945年、ローマのサルトリア(仕立て服店)として創業しましたが、“ドルチェ・ヴィータ(甘い生活=イタリアの繁栄期)”と呼ばれ、チネチッタ(イタリアの映画撮影所)製作の映画が世界を席巻した時代(1950〜60年代)より、映画に衣装を提供していました。それも劇中の衣装だけではなく、その俳優がレッドカーペットや上映会などで着るタキシードやスーツといった、プライベートなワードローブまで仕立てていたのです。それはあくまで契約上の関係である現在のアンバサダーとは異なり、個人的に我々の服を気に入っていただき、ある程度時間をかけて顧客としての関係を築けた方に対して行ってきたこと。そうした関係性は現在も変わることなく、近年キャンペーンに起用したジュードとラフのロウ親子も、以前からプライベートでブリオーニの服を着ていたからこそ、声をかけさせていただいたのです」

時間をかけて熟成させた顧客とブランドの絆

多くのブランドがアンバサダーを起用するはるか以前より、映画スターたちと親密な関係を築いてきたブリオーニ。特筆なのは、それが時間をかけて築いた、個人的なつながりから発展したものということだ。なお、ジュード・ロウ親子とのキャンペーン契約は終了したが、顧客としての関係は現在も変わることなく続いているそう。さらにそうした関係性は、彼らアンバサダーたちとのものだけではないという。

「我々は一般のお客様とも、末長く、深い関係を築くことを常に心がけています。ローマの本店ではもちろんですが、特にそうした関係は日本のお客様と築けているように感じます。例えば、お客様の結婚式に衣装のアドバイザーとしてスタッフを派遣するなど、深い絆に基づくサービスも日本で提供させていただいているのです。そういったお客様との関係性は、このたびリニューアルした日本の旗艦店でも変わらず心がけたいと思っています」

まず、人との絆ありき━━。そこには顧客とブランドの関係を超越した、温かみのある人間的なつながりを感じさせるのだ。それはブリオーニが時間をかけ、対話しながら顧客好みの服を丁寧に仕立てる、ビスポークテーラーが出自のブランドだからこそ生まれた思想だろう。そしてそんな人との絆や品質のためには時間を惜しまないスローラグジュアリーな姿勢は、ローマという本拠地にも起因しているようだ。

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direction by Akira Shimada | text by Yasuhiro Takeishi

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