筆者の考えでは、 これまで上昇してきた金相場は、今後も値上がりが続くだろう。世界的に緊張が高まることは、ほぼ確実だからだ。そして中長期的なタイミングのどこかで議論が生じるだろう。
銀相場もこれに追随するだろうが、その動きはスムーズなものにはならないはずだ。これまでの銀相場は、金に遅れて変動し、突然の暴騰で追いつく、あるいは追い越す傾向にある。こうした挙動は今後も続くだろう。
仮に金が急騰した場合、銀の上げ幅はこれを上回る可能性が高い。金相場の急上昇を引き起こすのは、誰もが注目するような地政学的原因だが、心配性な人々は、金よりもユーザーフレンドリーな貴金属である銀を買いに走るからだ。
現時点では、銀のパフォーマンスは弱い。私見ではこれは、金の買いを主導しているのが民間セクターではなく、政府であることを示唆している。だが、どこかの時点で民間セクターも、不況に備えて貴金属を貯め込んでおきたいという誘惑に駆られるだろう。
多様なポートフォリオの一部として、金銀を貯蓄するのは理にかなっているし、現代のデジタル世界には、そうするための便利な方法がたくさんある。筆者自身は現物の自己管理は好まないが、貯め込んだ貴金属を愛おしげに眺めることを楽しむ人たちも多く、この方法はいつの時代も人気がある。
金、銀、プラチナは、どのようなポートフォリオとも相性のいい、すばらしい構成要素だ。長期的貯蓄としても、再び迫りくるインフレを心配する人にとって、長期的な価値の目減りに備えられる優れた手段だ。
プラチナ、さらにいえばパラジウムは、たいていの投資家は鼻であしらう逆張りの選択肢だ。だからこそ、「安く買え」を信条とする筆者には魅力的に映る。とはいえ、あなたがどの貴金属を選び、どんな方法で貯蓄するにせよ、10年後には、過去の自分を「よくやった」と褒めるはずだ。そしてそれこそが、投資の本質だ。
結局のところ投資の本質とは、貯蓄を少しずつ浪費して無一文になるような事態を避け、リソースを増やして十分な安心を得ることなのだ。
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forbes.com 原文)