ライバルの豪鉱業会社BHPグループからの買収提案に対する防衛策の一環として、アングロ・アメリカンは昨年、売却対象資産としてリストアップしたデビアスへの出資の評価を16億ドル(約2440億円)減の76億ドル(約1兆1580億円)にせざるを得なかった。
現在も資産価値の評価が進められており、来週発表されるアングロ・アメリカンの2024年度決算報告書に2回目の減損処理が含まれる見通しだ。
2回目の減損の規模は不明だが、投資銀行RBCのアナリストがアングロ・アメリカンが持つデビアスの株式をわずか25億ドル(約3810億円)と評価したと英紙フィナンシャル・タイムズが先週報じたことを考えると、かなりの額になる可能性がある。
ダイヤ業界の崩壊は業界内の人々にとっては驚きだったかもしれないが、外部の人々はこうした不可避の衰退を数年前から目にしてきた。人工ダイヤの品質が向上し、価格は下落、そして天然ダイヤとの違いを識別できないバイヤー(および一部の専門家)が増えている。
ボツワナ、デビアス株を買い増しか
銅や鉄鉱石の事業に集中すべく、石炭やプラチナの事業を分離したアングロ・アメリカンにとって、ボツワナ政府が15%の株を持つデビアスの扱いは悩ましい問題だ。現在、ボツワナの輸出収入の7割がダイヤによるものだ。デビアスが同国に持つオラパ鉱山やジュワネング鉱山で高品質の原石が採掘されており、ボツワナはダイヤ生産量ではロシアに次いで世界第2位、金額ではトップだ。
ボツワナのボゴロ・ケネウェンド鉱山大臣は先週、同国がデビアス株の買い増しを視野に入れていることを認めた。
ただ、人工ダイヤが業界を席巻しつつある中で、苦戦を強いられている天然ダイヤ事業にさらに出資することは良い考えではないかもしれない。
(forbes.com 原文)