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AI

2025.02.13 11:30

DeepSeekの登場はこれから続くAI開発競争の「始まり」にすぎない

Tada Images / Shutterstock.com

DeepSeekが「AIには巨額の費用は不要」であることを証明し、さらに自社のR1モデルをオープンソース化した今、特にモバイル端末を中心にAIの普及が加速する可能性が高い。OpenAIのような企業が膨大なエネルギーと計算能力により築こうとしていた参入障壁は揺らぎ始めている。DeepSeekのような低コストモデルは、既存プレーヤーのビジネスモデルに疑問を投げかけつつも、AI全体の成長を促進するかもしれない。結果として、今後数年間でAIがより多くの分野に、より速いペースで登場することが予想される。

エネルギーに関する問題

従来の常識では、AIはより大規模なエネルギー源、場合によっては原子力発電所をも必要とするようになると考えられてきた。DeepSeekの効率的な技術はこうした前提を崩す可能性があるが、早まった評価は禁物であり、むしろ逆の結論に至る可能性もある。

ジェボンズのパラドックス」という経済理論によれば、効率化が進むほど普及が早まり、結果的にエネルギー消費が増えることがある。直感には反するようだが、AIの効率が高まれば、それだけさまざまな場面に導入されるスピードも上がり、総合的なエネルギー需要が拡大するというシナリオも十分考えられるからだ。

いずれにせよ、投資家が今の段階で性急に結論を下すのは危険である。ロシアは最初に人工衛星を打ち上げたが、最終的に宇宙開発競争では敗れた。競争は、リソース不足と同様に、より大きな創造性や集中力、そして技術的進歩をもたらすことが多い。

AIの経済学が変化したように見えても、それで物語が終わるわけではない。現在のAIはまだ黎明期にあり、1990年代のドットコム勃興期に例えられるほど未成熟だ。また、政治的要素は不確定要素が大きい。DeepSeekの技術が本物であるのは明らかだが、発表のタイミングは決して偶然ではない。ちょうどドナルド・トランプが大統領に就任した直後であり、米国のAI開発を強化する巨大ファンドの発表に続いたタイミングだった。DeepSeekは、激化しつつある貿易戦争の只中で放たれた一種の牽制ともいえる。

したがって、DeepSeekの登場はAI競争の終焉ではなく、マラソンの始まりと捉えるべきだ。AI技術は今後何度も進化を遂げる可能性があり、勝者を予測するにはあまりにも時期が早い。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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