サイエンス

2025.02.11 12:00

豪大陸に放たれた「24匹のウサギ」による生態系破壊とその経緯

アナウサギ(Martin Pelanek / Shutterstock.com)

さらに、農業目的での徹底した森林伐採が、ウサギにとって理想的な生息地を生み出した。食べものと、身を守る場所が豊富にある、開けた草地や耕作地をウサギに提供したのだ。そうした要因と、一年を通じた繁殖を可能にするオーストラリアの穏やかな冬があいまって、ウサギの個体群が手に負えないほど繁殖する最悪のめぐりあわせが生まれた。
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大繁殖したアナウサギ。オーストラリアには天敵がいなかった(Shutterstock.com)

大繁殖したアナウサギ。オーストラリアには天敵がいなかった(Shutterstock.com)

アナウサギは、現在でもオーストラリアの悩みのタネ

個体数抑制の取り組みにもかかわらず、アナウサギはいまだにオーストラリアを悩ませている。現在、個体数は1億5000万匹を超え、作物被害や環境悪化による経済損失は年間2億ドル(約300億円)以上にのぼる。ウサギは、土壌侵食、在来植物の絶滅、生物多様性喪失の一因になっている。

ウサギの個体数抑制にはさまざまな方法が用いられてきたが、結果はまちまちだ。

1950年代に導入された粘液腫ウイルスなどの生物的防除策は、当初はウサギの個体数を減らしたが、時とともにウサギが耐性を発達させた。同様に、1990年代に放たれたカリシウイルス(RHDV)は、一時的な救済にはなったが、問題根絶には至らなかった。
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毒餌、繁殖地の破壊、標的を絞った狩猟は、現在でも標準的な対策となっている。しかし、そうした手法は労力と費用がかかる上に、局所的な解決策にしかならない。

ウサギ個体群の遺伝子研究により「最初の24匹」はオーストラリアで生き延びるのに適した形質をもっていたことが明らかになり、外来種の成功における遺伝子の役割の重要さがはっきりした。

オーストラリアのアナウサギの物語は、外来種の導入で生じる意図せぬ結果をありありと示している。狩猟のためにもちこまれた少数のウサギが、世界屈指の破壊につながる外来生物の侵入事例と化し、オーストラリア大陸の生態系を永遠に変えてしまったのだ。

そうした外来生物とのやむことのない闘いは、人間と自然とのかかわり方を考える上で先見性が重要であることを浮き彫りにしている。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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