ウサギの進出を阻む世界最長のフェンスの建設
世紀の変わり目までに、ウサギは、生態学的にも経済的にも災厄となっていた。作物を食いつくし、土壌を侵食し、有袋類のミミナガバンディクート(フクロウサギ)や他のバンディクートといった在来種を駆逐していた。
その影響の大きさに、政府は行動を余儀なくされた。ウサギ禍と闘うための対策を調査・推奨する王立委員会が設立された。ほどなくして委員会は、大胆な策を提案した。世界最長のフェンスを建設し、ウサギの広がりを封じこめようというのだ。
1907年に完成した「ウサギ防止フェンス」は、3200キロメートルにわたって西オーストラリア州を走っていた。だが、フェンスは絶対確実な対策ではなかった。ウサギは穴を掘ってフェンスの下を通ることもできたし、跳びはねて隙間を通り抜けることもできたからだ。
また、それほど巨大な構造物を維持管理するのはとてつもない大仕事だった。フェンスはウサギの広がり方を遅くはしたものの、問題を根絶することはできなかった。
アナウサギが大繁殖した理由
アナウサギは繁殖力が高く、1年に最大30匹の子を産める。その多産な繁殖力は、およそ30日という妊娠期間の短さと、メスが出産後数時間でまた妊娠できるという事実に起因する。子ウサギはわずか3~4カ月で性的に成熟し、それもまた個体群の急速な増加に貢献している。生態上の利点に加えて、ウサギは食べものを選り好みしない──草から低木まで、幅広い植物を食べて生き延びることができる。
この問題に拍車をかけたのが、オーストラリアにはウサギを捕食する天敵がいなかったことだ。ディンゴや猛禽類といった在来の捕食者には、これほど繁殖力の高い種を抑制するだけの個体数はなかったし、狩りの能力もなかった。


