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経済・社会

2025.02.10 17:15

日米共同声明が言及した台湾、尖閣、北朝鮮 今後、最も懸念される場所とは

Photo by Jabin Botsford/The Washington Post via Getty Images

日米の当局者が事前に安全保障分野で懸念した問題の一つが、台湾海峡問題への言及だった。従来通り、「台湾海峡の平和と安定の重視」「力による現状変更への反対」を盛り込むことを目指した。一方、トランプ氏が習近平中国国家主席とのディールを念頭に置く場合、こうした表現への盛り込みに難色を示すのではないかという懸念があった。ただ、この懸念は杞憂に終わった。日米関係筋の一人は「対中強硬派で台湾海峡問題を重視するコルビー氏の存在が大きかったのではないか」と話す。

次に尖閣諸島防衛だが、共同声明では従来通り、「日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用される」とした。米軍関係者の間では従来、無人島の尖閣諸島への関心は薄かった。ただ、台湾有事への備えが必要とされるなか、台湾から約170キロしか離れていない尖閣諸島の戦略的重要性が再認識されているという。中国が尖閣諸島を実効支配した場合、艦船や航空機の活動に大きな障害が生まれるからだ。

一方、共同声明に盛り込まれたものの、不安を残したのが北朝鮮核問題だ。共同声明は「北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを改めて確認した」とうたった。ただ、トランプ氏は共同記者会見で「金正恩総書記とは非常に良い関係でやっている」と語った。トランプ氏は1月20日、記者団に対して北朝鮮を「核保有国」とも呼んだ。また、コルビー氏は過去、様々なメディアとのインタビューで、在韓米軍の役割を対北朝鮮防衛だけでなく、台湾海峡問題などにも転用できるようにすべきだとの考えを示している。日米関係筋は「コルビー氏も北朝鮮の完全な非核化は難しいと考えている」と語る。

トランプ氏が功名心に駆られ、米朝国交正常化にはやれば、日本と韓国は北朝鮮の核とミサイルの脅威の中に取り残される。日本政府の元高官も「今回の日米会談は良かったと思うが、これで安心してはダメだろう」と語る。米政府元高官も「とりあえず、イシバは当分の間は生き延びたということだろう」と論評した。日米関係はまだまだ先が見通せない。

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