アラン教授らは、子どもたちが自分が興味や関心を持ったものを手に入れるために支払ってもよいと考えたトークンの数が、子どもたちの興味や関心の支払意思額であり、「好奇心」を数値化したものだと考えました。
この理科の授業と教材の効果を検証するため、アラン教授らは、トルコの2つの州の公立小学校で2回のランダム化比較試験を行っています。
1回目の実験では、プログラムの対象となる25校(処置群と呼びます)と、ならない25校(対照群と呼びます)をランダムに分け、比較しました。2回目の実験は、少し数を増やして、別の学校で行われ、処置群43校、対照群41校を比較しました。
理科の授業を1年間受けたあと、子どもたちの好奇心が高まったかどうかを見てみると、処置群の子どもたちは対照群の子どもたちよりも支払意思額で計測した好奇心が高かったことがわかりました。平均して約4ポイント近くも高かったので、かなり大きな効果があったと言えます。
また、パンフレットの内容をどの程度覚えているかというテストをすると、処置群の子どもたちのほうがよく記憶していることもわかりました。つまり、好奇心の高まりは知識の定着を促したことがわかります。
好奇心の向上は、学力にも影響するのでしょうか。処置群の子どもたちは対照群の子どもたちよりも平均して約0.8も理科の学力テストの偏差値が高かったことがわかっています。学力に対する効果はプログラムが終了して3年たったあとも持続していました。好奇心の向上は学力向上にもつながり、その効果が長期にわたって持続することが示されたのです。
(本原稿は、『科学的根拠(エビデンス)で子育て』からの抜粋を編集したものである)


