従業員同士の競争に伴うデメリット
1. ストレスや不安が生じる職場で従業員同士が競い合うことで、解雇の懸念や、人前で恥をかくというマイナスの結末に意識が行ってしまう場合は、有害な職場環境が生まれる危険性もある。
人によっては、過度な競争のせいでストレスや不安を抱え込んでしまい、敵対心が生じたり、メンタルヘルスに悪影響が及んだりすることもあるかもしれない。激しい競争によって、チームの団結にひびが入ってしまう可能性もゼロとは言えない。個々の従業員が、組織全体ではなく、個人の成功に重きを置くようになるからだ。
2. 協力態勢が妨げられる
従業員同士が競い合った結果、職場に不信感が漂うようになると、協力しようという気持ちは薄れていく。また、不公平な競争だと感じる人が現れると、対立へと発展する可能性があることもデメリットだ。
新たに職場に加わった者は特に、理不尽なことを期待されていると思うと、意欲を失くしてしまうかもしれない。リーダーへの信頼が失われれば、部下の心は時間とともに離れていく。
3. 非倫理的な行動を招く
職場の競争が激しすぎると、不正な行為に手を出す人が現れないとも限らない。実質的に達成不可能な目標を与えられてプレッシャーを感じた営業担当者が、同僚の仕事を妨害したり、データを改ざんしたりする可能性もある。
競争があまりにも激化すれば、勤務評価を上げようとして他の人の仕事を横取りする従業員も出るかもしれない。こうした好ましくない行動は最終的に、企業の長期的な評判とチームの士気に打撃を与えるだろう。
バランスの取れた職場文化を育むには
従業員同士を競わせることは、もろ刃の剣となりかねない。従業員を鼓舞できる場合もあるし、まったく逆の効果を招く場合もある。ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された調査によると、成否の決め手は、競争することに従業員がどのような感情的反応をみせるかだという。従業員が自身の感情を不安だと解釈した場合は、非倫理的な行動に走りやすくなる。逆に、高揚感を抱けば、問題解決に向けて創造的な行動をとりやすくなる。
根本的には、職場の競争を従業員たちがどう感じるかということが、彼らが成功しようと思うかに関して重要な役割を果たす。マネージャーが、肯定的な姿勢でチームを導くことが重要になる。そうすれば従業員は、自分は応援してもらっている、尊重してもらっていると感じながら競争心を保ち続けることができるだろう。
(forbes.com 原文)


