「モナ・リザ」専用展示室を新設
ルーブル美術館を訪れる人の80%が遠くからでも一目見ようとするのが、世界で最も有名な作品のひとつ、「モナ・リザ」だ。だが、大勢の人が高く掲げられた多数のスマホと突き上げられた腕の隙間からこの作品を見ようとする状況は、群集事故を防ぐための警備上、美術館にとっては頭痛の種だ。そして、来館者の大半を落胆とともに立ち去らせている。
計画によると、「ドゥノン翼」の「国家の間」に展示されている「モナ・リザ」は改修工事後、「クール・カレ(方形中庭)」の地下に新設される専用展示室に移される。アクセスを美術館から独立させ、専用の入場券を販売することで、館内の混雑状況の緩和と、ル・モンド紙が「(モナ・リザのおかげで)影を潜め、オーバーツーリズムの被害を受けている」とするその他の作品を救うことに役立つと期待されている。
新たな論争の火種も? イタリアが「返還」を要求
ルーブル美術館が改修工事に向けた準備を開始したことを受け、イタリアのロンバルディア州は工事の期間中、「モナ・リザ」を引き受ける意向を正式に表明した。だが、その申し出が快く受け入れられることはなかった。輸送が極めて複雑で高額の費用がかかるほか、(作品の)もろさのために、危険が伴うためだという。仏誌ル・ポワンは、「レオナルド・ダ・ヴィンチは16世紀初めにこの絵画をフランス国王フランソワ1世に売却した」「フランスはイタリアを必要とすることなく、保存方法を見つけるだろう」などと伝えている。
莫大な工事費用は「自ら捻出」
計画では、メインエントランスの混雑緩和を目的として、古典的な様式で建てられている東ファサードに新たな「グランドエントランス」が建設される。中庭にある現在の入り口はもともと、年間の来館者数を400万人と想定した設計だが、実際の入場者数はその約2倍、年間およそ800万人となっている。新しいエントランスは、クール・カレの地下に作られる展示室と、現在あるその他の展示スペースに直結するものとなる。また、過去およそ35年で最大の規模となるこの改修工事により、年間の受け入れ可能な来館者数は約1300万人に引き上げられるという。


