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経済・社会

2025.02.05 12:00

苦悩する毛皮産業、かつての主要生産国も次々撤退 動物虐待の批判が高まる中

毛皮農場の狭いおりに閉じ込められたミンク(Getty Images)

毛皮農場の狭いおりに閉じ込められたミンク(Getty Images)

近年、毛皮産業は物議を醸している。コートに代表される毛皮の衣料品は、多くの文化圏で社会的地位の高さを示す象徴となってきた。他方で昨今では、ミンクのような動物を狭いおりの中に閉じ込めるなど劣悪な環境で飼育していることや、食肉用の飼育とは異なり、人間の生命維持に不必要と見なされる理由で動物を繁殖させ殺しているとして、毛皮生産者に対する圧力が強まっている。

最近では、鳥インフルエンザや新型コロナウイルスに対する予防措置として家畜が大量に処分されたことで、各国の毛皮生産量が減少した。欧州を中心に、動物愛護の観点から毛皮生産を完全に中止した国もある。こうした背景から、毛皮生産量は世界的に激減しており、毛皮産業は危機的状況にあるとされている。

ミンクとキツネの毛皮の生産量は2012年時点では8100万枚を超えていたが、19年までに約6600万枚に減少。23年には1500万枚未満にまで落ち込んだ。欧州以外でも動物虐待に対する認識が高まり、飼育慣行に対する世間の見方が厳しくなる中、毛皮生産者は需要の減少に危機感を募らせている。

複数の毛皮生産国が市場から撤退した今、ミンクとキツネの毛皮の生産で世界最大となっている国はどこだろうか? フィンランド毛皮生産者協会がまとめた報告書に掲載されている国の中には、予想どおりの国もあれば意外な国もある。毛皮禁止の波が押し寄せる中、業界は近い将来、さらなる変化を目の当たりにするかもしれない。

寒冷な気候は、毛皮のコートを身に着ける機会や、上質な毛皮に使われる動物の生息と結び付けて考えられることが多い。実際、ロシア、ポーランド、カナダ、フィンランドは世界有数のミンクとキツネの毛皮生産国だ。だが、中国、米国、ギリシャ、スペインといった比較的温暖な国々も生産国に名を連ねている。2023年のミンクとキツネの毛皮の国別の生産量では、中国が350万枚で群を抜いて1位、次いで同じく300万枚の大台を超えたポーランドが2位、ロシア、米国、ギリシャも年間100万~200万枚を生産している。
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翻訳・編集=安藤清香

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