ベッセント長官は、トランプの大統領令を受けてCFPBの規制関連の業務や、あらゆる公的なコミュニケーションを停止するよう命じたと複数のメディアが伝えた。職員らは、同局の執行措置や訴訟を進めないよう命じられたという。
CFPBのこの動きは、トランプが就任初週に発令した米国の対外援助を一時停止する大統領を受けて米国国際開発庁(USAID)が週末に業務を停止したことに続くものだ。
共和党議員やハイテク業界の経営陣らは長年、バイデン政権がCFPBを通じて実施した違法な高利貸しやフィンテック業界を監視するための取り組みを批判していた。トランプは、週末にバイデン政権下で任命されたロヒット・チョプラ局長を解任し、ベッセントを後任に指名した。
マーク・アンドリーセンやマーク・ザッカーバーグ、イーロン・マスクらはいずれもCFPBを批判しており、同局が過剰な規制を行っていると主張していた。トランプ大統領に連邦政府の効率化を助言するマスクは昨年11月、CFPBがハイテク大手やフィンテック業界への規制を強化する新ルールを発表した直後に、「CFPBを廃止したい」と述べていた。彼はまた、「重複する規制機関が多すぎる」とも指摘していた。
ザッカーバーグも昨年、CFPBがメタに対し、広告事業における金融データの不適切な使用を理由に提訴を行うと警告したことに反発した。彼は、ジョー・ローガンのポッドキャスト番組で「規制当局の間には、ハイテク業界を罰したいという暗黙の合意があるのではないか」と疑問を呈した。アンドリーセンも、同じ番組でCFPBを批判していた。
2008年の金融危機を受けて2011年に設立されたCFPBは、住宅ローンやクレジットカードなど幅広い金融取引で不当な手数料が課せられていないかなどを監視している。同局は、金融危機後の規制強化や消費者保護を象徴するドッド・フランク法(金融規制改革法)によって誕生した。トランプは1期目の政権でもCFPBの権限を制限しようと試み、2017年に共和党の元下院議員ミック・マルバニーを局長代理に任命した。
CFPBは議会の歳出プロセスではなく、連邦準備制度(FRB)から直接資金を受け取る仕組みになっているが、マルバニーはその後、FRBに対しCFPBの予算をゼロにするよう要請し、採用の凍結や新たな執行措置の停止を命じていた。しかし、その後はバイデン前大統領がチョプラを局長に指名し、マルバニーの規制緩和策を覆した。CFPBはその後、チョプラの指揮下で大手銀行と度々衝突し、手数料やクレジットカードの延滞料の制限などの規則を推進してきた。
(forbes.com 原文)