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2025.04.09 12:30

自然や音楽で生じる「畏敬の念」、脳を研ぎ澄ますそのユニークな力

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プラネタリウムでの映画の没入感や迫力のある映像、ダイナミックな音響により参加者は畏怖の念を抱き、より注意深く鑑賞するようになり、扱われているテーマへの関心を高めた。

畏敬の念は必ずしも具体的な詳細を正確に記憶する能力を向上させるわけではないが、学習意欲を高めることは確かだ。畏敬の念が記憶に留めておくこと以外の形で好奇心や学習意欲をかき立てることができることを浮き彫りにしている。

畏敬の念を抱かせるような体験、例えば芸術を堪能したり、示唆に富むコンテンツに触れたりすることで、学び続ける意欲を育むことができる。このような畏敬の念を抱く瞬間は、新しいアイデアを積極的に受け入れる姿勢につながり、知的成長と自己啓発を促進する。

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3. 創造性の向上

世界観を覆すような予期せぬ大きな出来事、あるいは非凡なことに遭遇するときに畏敬の念を抱くことが多い。神秘さを感じたり感動したりするこの感覚によって新しい考えを受け入れられる状態になり、より広い視野で物事を考えたり、斬新なアイデアを求めたりできるようになる。

専門誌『エモーション・レビュー』に2023年に掲載された研究によると、畏敬の念は創造性に富んだ思考能力や物事を深く省察する能力を向上させるようだ。これは、外部からの刺激で得られた情報やアイデアを頭の中で処理する方法とつながっている。

畏敬の念を抱かせるものに注意が向くと、思考や感情の働きが刺激されてさまざまな情報の断片を結びつける。創造性や内省的な思考、さらには科学的推論にとって重要な動きだ。

畏敬の念を抱くと、自分の考えや経験をより深く省察するようになる。この内省的なプロセスによって状況を多角的に評価し、議論をより慎重に吟味する能力が高まる。また、即座に反応するのではなく一歩引いて秩序立って考えることができるようになる。これは日常の意思決定においても、複雑な問題解決においても極めて大事なことだ。

日々の暮らしで畏敬の念を育む方法

神秘さを感じたり感動したりする感性は日常の中で培われる。畏敬の念を抱くことは、ともすれば忙しさに追われる暮らしの中で平穏を見出す最もシンプルな方法の1つかもしれない。

普段の暮らしで畏敬の念が湧く瞬間を見つける方法をいくつか紹介しよう。

・小さなことに意識を向けながらの散歩
木の皮の模様や空の色、鳥のさえずりなど、目にする美しさや細部に意識を向けながら、定期的に自然の中を散歩する

・畏敬の念を抱いたことについて記録する
息をのむような夕焼けに気づいたり、科学の飛躍的進歩について読書したりと、大小を問わず畏敬の念を抱いたことについて毎日書き留める

・芸術に触れる
公演を鑑賞したり、美術館を訪れたり、あるいは地元のアートスポットに足を運んだりと、芸術を通じて畏敬の念を持つ時間を設ける。

・小さな気づきを意識する
完熟した果物の味わいなど、日常生活の「ありふれた奇跡」に気づけるよう、ゆっくりと過ごすことを心がける

畏敬の念は自然に生まれるものだが、マインドフルネスを実践し、畏敬の念が湧く活動にあてる時間を確保することで生まれやすくなる。そうすることで、より頻繁に畏敬の念を持てるようになるだけでなく、つながっているという深い感覚や感謝の心、モノの見方を養うことができる。

forbes.com 原文

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翻訳=溝口慈子

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