こうした能力を考えると、DeepSeek-R1がオープンソースなのは興味深い。中国はおそらく、このLLMが軍用、民生用の両方で利用可能なことを十分認識しているはずだ。敵側に利用されるのを防ぐ措置を講じているのだろうか。あるいは、もっと強力なものを自国専用にとっておいているのか。
ドローン分野で無双になりそうな中国
ディープシークはほかのLLMと比較して、いくつかの点で強みがあるとされており、とくに、リソース効率が高いことが挙げられている。これは、必要な計算能力がほかのLLMよりも少なく済み、データセンターなどではなく、ドローンのようなエッジアプリケーション(データを端末で処理するアプリ)に適しているということを意味する。開発元はさらに、同等のモデルよりも少ない訓練データで短期間に現行の性能を達成したとも主張している。ディープシークが実際にどれほど有能なのかはわからない。それでも、ドローンに搭載できる高性能で低コストのシステムは、現時点で中国にとって有用なアセットに違いない。
中国は世界最大のドローン製造基盤を有する。また、ウクライナとロシアが現在の戦争で編み出した戦術や技術を通じて、そのドローンの実戦使用に関する膨大な情報も、何の代償も払わずして得ている。中国はさらに、低コストの商用ドローンに類したドローンを装備するらしいドローン戦闘部隊も育成している。
それにLLM能力が加わると、中国は無敵のドローン部隊を構築するためのすべてのカードを手にしているように見える。戦争はドローンが果たす役割が大きくなっていく方向にある。長期的には、そのソフトウェアが決定的な要因になるかもしれない。その戦争では、最も賢いドローンを持つ側が勝利を収めることになるだろう。
(forbes.com 原文)