一方、ここ1年ほどの間に、小型ドローンへのAIの導入も進んできている。一例を挙げれば、米バージニア州アーリントンに本社を置くAuterion(オーテリオン)は、自律制御ボード「Skynode S(スカイノードS)」をウクライナに供給している。クレジットカードほどの大きさで、機械学習アプリ用に最適化されたコンピューターであるSkynode Sをドローンに搭載すると、たとえば目標をロックオンして自動的に最適なルートを飛行させるといったことが可能になる。こうした技術の力を借りれば、いずれドローン操縦士は誰でもオレルのようなエース操縦士になれるかもしれない。
ウクライナの前軍総司令官であるバレリー・ザルジュニー駐英大使は昨年10月、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)で行った講演で、技術進化の速さについて語っている。
「(2022年に)ロボットが戦場に登場したとき、西側のメディアや現地の将軍たちからは失笑が漏れました」とザルジュニーは振り返る。「ところが2024年には、テクノロジー、とりわけ人工知能が戦争において重要な役割を果たし始めました」
2025年には、ウクライナの戦場でAIに支援されるドローンがさらに増えていくと見込まれる。ただし、AIアプリを高速で実行できるほどの計算能力を小型ドローンに実装することや、機械学習システムを確実かつ効率的に実行できるように訓練することなど、課題もいくつかある。
そして、まさにこうした課題を克服できるものこそ、中国がディープシークで獲得したと思われる技術なのだ。