「ありますでしょうか」の意味とは?
「ありますでしょうか」は、何かが“あるか・ないか”を相手に尋ねるときに使われる言葉です。
もともとの丁寧表現は「ありますか」で、「でしょうか」という推量や確認のニュアンスを加えることで、より柔らかく、丁寧さを増した聞き方になります。ただし、文法的に見ると「あります(丁寧語)」と「でしょうか(推量表現)」を組み合わせた結果、やや冗長に感じられることがあります。
結論から言えば、文法の厳格な観点では“厳密には誤用”と指摘される場合もありますが、ビジネスシーンや日常会話では比較的広く容認されている表現です。そのため、あまりに堅い文書・公的資料で多用すると違和感を持たれる可能性はあるものの、会話やビジネスメールなどで使っても“実務的には問題視されにくい”というのが実情です。
ビジネスシーンでの使い方と注意点
「ありますでしょうか」を使う際には、相手との距離感や文章全体の雰囲気を考慮する必要があります。実務的には十分通じるフレーズですが、以下の点に留意するとより適切に使えます。
1. フォーマルな場では避けるのが無難
公式文書や契約書など、非常にフォーマルな場面では「ありますでしょうか」のような複数の丁寧表現が混在する表現は避けたほうが望ましいとされます。
たとえば「ございますか」や「ありますか」の方がシンプルで誤解を生まないため、フォーマルな場や相手が非常に言葉遣いに厳しい場合などは、そちらを優先するとよいでしょう。
2. メールや口頭でやわらかく尋ねたいときに有効
あまり堅苦しい印象を与えたくない場合や、相手を気遣う気持ちを伝えたい場合、「ありますでしょうか」を使うとソフトな印象を与えられます。
会議後の確認事項や在庫確認などで「何かご不明点はありますでしょうか」のように述べると、フレンドリーさも保ちつつ、丁寧な印象も残せます。
3. 連発すると過度な敬語になりがち
メール本文や会話の中で、他の敬語表現と合わせて使い続けると、文章が長くなりすぎたり、敬語を重ね過ぎたりして読みにくくなる可能性があります。
「ありますでしょうか」を使う場合は、他の丁寧表現も含めたバランスを考えつつ、必要十分な回数にとどめるのがポイントです。
「ありますでしょうか」は正しい敬語か?
文法的観点から見ると、「あります」(丁寧語)+「でしょうか」(推量・疑問)と二重の丁寧要素が一部重複しているように受け取られるため、「完全に正しい」とは言えない側面があります。
しかしビジネスシーンや日常生活では、意味が十分に伝わり、過度に“不自然”とも思われないため、多くの人が普通に使っている実情があります。総合的に言うと厳密には誤用とされる場合があるが、実務上は多くの場合許容されるという位置づけです。
1. 二重敬語かどうか
「ありますでしょうか」は厳密に言えば“二重敬語とするかどうか”で意見が分かれる表現です。「あります」は丁寧語、「でしょうか」は推量や質問の丁寧表現という構成なので、完全に同種の敬語を二重にしたわけではありません。
ただし「『ます』と『です・でしょう』の両方を重ねてしまうのは不自然」という指摘もあり、言葉遣いに厳しい人には避けたほうが無難かもしれません。
2. ビジネス上の実務では広く使われている
実際のビジネス現場では「何かご要望はありますでしょうか」「ほかに質問はありますでしょうか」などと使われるケースが多々あります。
“理屈の上で誤用かもしれない”という認識を持ちつつ、相手が一般的なビジネスマナーを重視する程度であれば失礼には当たらないとされることが一般的です。
類義語・言い換え表現
「ありますでしょうか」ばかりを連発するのは避け、場面によっては以下の表現を使い分けるとスッキリし、より自然な印象を与えられます。
1. 「ございますか」
最も簡潔で丁寧な表現です。「在庫はございますか」「ご質問はございますか」など、形式をシンプルにすることで、相手にわかりやすく伝えられます。
2. 「いかがでしょうか」
物の有無だけでなく、状態や意見を尋ねる場合にも適しており、やや汎用性のあるフレーズ。「ご都合はいかがでしょうか」「ご意見はいかがでしょうか」などに言い換えると、より相手に配慮した響きになります。
3. 「ありますか」
社内や親しい間柄などで過度にかしこまる必要がない場合は、単純に「ありますか」で問題ありません。相手との距離感や社風を考慮して使い分けるようにしましょう。
例文で見る使い分けポイント
実際に「ありますでしょうか」を使う場面と、その言い換え例を見てみましょう。
- 在庫確認(取引先):
「追加の在庫はありますでしょうか」
→ 言い換え:「追加の在庫はございますか」「追加の在庫はおありですか」 - 会議後の意見収集(上司・同僚):
「ほかにご意見はありますでしょうか」
→ 言い換え:「ほかにご意見はございますか」「ご意見はいかがでしょうか」 - クライアントとの最終確認:
「何かご不明点はありますでしょうか」
→ 言い換え:「ご不明点はございませんか」「何か気になる点はいかがでしょうか」
こうした言い換えで、文章全体をよりスッキリさせることができます。「ありますでしょうか」をどうしても使いたい場合は、一度だけや短い文章内に控えめに盛り込むのがおすすめです。
まとめ
「ありますでしょうか」は、厳密な文法の観点から見ると二重敬語的に扱われる場合があり、誤用とみなされることもあります。ただし、ビジネスシーンや日常会話では広く用いられ、「ありますでしょうか」と尋ねられても違和感を持たれにくいのが実情です。
とはいえ、文章や会話がクドくならないよう、「ございますか」「いかがでしょうか」「ございますでしょうか」など、シンプルかつ目的に応じた類義語や言い換え表現を組み合わせるのが得策と言えます。
最終的には、ビジネス文書や会話の要素としては“厳密な敬語”ではないため、可能であれば「ございますか」「いかがでしょうか」などが無難です。一方で、意味が伝わり相手に失礼感を与えない状況であれば、「ありますでしょうか」でも実務上は問題ありません。相手との距離感や社風に合わせて使い分けていきましょう。