サイエンス

2025.02.05 12:30

世界最大、被覆面積2万平方メートルの樹冠をもつ樹「ティマンマ・マリマヌ」

南インドのアーンドラ・プラデーシュ州にある「ティマンマ・マリマヌ」(Getty Images)

ベンガルボダイジュの下で眠るな、という伝承

ベンガルボダイジュにまつわる興味深い伝承の一つに、この樹の下で眠るな、というものがある。この言い伝えは、科学と迷信の両方に根差したものだ。
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科学的観点から言うと、ベンガルボダイジュは、夜間に光合成をやめて二酸化炭素を放出するため、地面付近は酸素濃度が薄くなる可能性がある。野外では、人体に有害なレベルにはならないとはいえ、このことが、この樹の下で眠るのは危険だという迷信につながったのかもしれない。

さらに、ベンガルボダイジュの迷路のような根と、謎めいた佇まいは、長きにわたりインドの民間伝承のなかで、超自然的な力と結びついてきた。ベンガルボダイジュはしばしば精霊、幽霊、神々のすみかとして描かれてきた。農村部では、住民たちが「さまよえる魂」との遭遇を恐れ、夜にこの樹に近寄るのを避けるところもある。

ベンガルボダイジュは、科学と迷信の興味深い絡み合いと、自然界の謎の一部を理解しようとする人々の営みを表している。

回復力の象徴

ティマンマ・マリマヌはただの樹ではない。回復力(レジリエンス)や適応性の象徴であり、文化遺産だ。550年以上にわたって生き続け、多数のサイクロンによる被害を耐え忍んできた。
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この樹はいまも枝を広げ続けている。2つの山の狭間の開けた地にあるおかげで、遮られることなく成長し、いまや1つの森のようだ。

世代を超えて繁栄を続け、人類史と生態系に独自の役割を果たしてきたこの樹は、研究と畏敬に値する驚異の存在と言える。

科学とスピリチュアル、どちらの観点から驚異に向きあうにせよ、ティマンマ・マリマヌは、畏敬の念を呼び起こし、自然界の謎や、自然の中の私たちの居場所について思索を誘っている。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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