DeepSeekの強みは「オープンソース」
次に生まれたのがDeepSeekだった。ハイフライヤーは2023年4月、WeChat公式アカウントに「ハイフライヤーの新たな旅」と題した投稿を行い、新会社のDeepSeekを設立し、汎用人工知能(AGI)モデルの開発に取り組むことを発表した。梁はこの新会社に自己資金に加えてハイフライヤーの収益の一部を投じた。また、中国のトップ大学出身の若手エンジニアを集めた。梁は2023年の36Krのインタビューで、自らの関心がAIの可能性を探求することにあり、利益の追求が目的ではないと語っていた。
その頃、中国政府がクオンツ運用への規制を強化し始めたこともあり、梁はハイフライヤーの運用資産を60億ドル(約9350億円)程度にまで縮小し、DeepSeekに軸足を移していった。
現在、世界のAI分野の注目はDeepSeekに向けられている。その理由の1つは、同社が昨年12月に発表した「V3」モデルに関する主張だ。OpenAIは、GPT-4の開発に1億ドル(約156億円)を要したとされるが、DeepSeekはわずか580万ドル(約8億9900万円)の投資でモデルをトレーニングしたと述べている。
さらに、同社が1月に発表した推論モデル「R1」は、OpenAIの「o1」モデルに匹敵する性能を有し、プログラミングや複雑な数学の問題を解決できると主張している。特筆すべきは、DeepSeekのモデルがOpenAIとは異なり、オープンソースとして公開されており、誰でも無料でアクセスできることだ。
DeepSeekの評価額はまだ確定しておらず、今後の技術的進展や市場規模に左右される。また、このAIモデルにデータを入力することは、TikTokと同様な国家安全保障上の懸念を引き起こしている。実際、DeepSeekの競合である中国企業Zhipu AI(智譜AI)は、1月に米国商務省により輸出規制リストに追加された。
さらに、重要なのは、当初はこの会社を商業化する意図を持っていなかった梁が、どれほど熱心に利益を追求していくかだ。「私たちの考えは、トレーニングの成果を広く公開し、モデルをオープンにしながらも商業化できる方法を探ることです。大企業に技術が独占されるのではなく、小さなアプリ開発者でも低コストで大規模なモデルを利用できるようにしたい」と、梁は2023年に語っていた。
(forbes.com 原文)


