地域課題を解決する持続可能なビジネスに
アイデアワークショップ「Hamadori Drawing Camp」を運営するのは、双葉町とCHOCOLATE がつくる活動体「Draw in FUTABA」。2023年に発足し、双葉町を含む浜通りの関係人口の増加を目的に、様々な分野のクリエイターを招いて地域の可能性を描いてきた。23年10月に開催した「Futaba Drawing Camp」では、デザイナー、コンセプトアーティスト、建築家、映像作家、広告プランナーなどクリエイター20人が双葉町に集まった。双葉町の海岸近くにある土地を舞台に、「もしこの土地の活用方法を、自由に考えるとしたら?」というテーマで企画とプレゼンを行い、「完成しない図書館」「あそべるガソリンスタンド」などユニークなアイデアが次々と発表された。
2回目の開催となった今年の狙いについて、「Draw in FUTABA」メンバーの栗林和明(CHOCOLATE Chief Content Officer)は次のように語る。
「前回のワークショップでは、実現可能性は関係なしにアイデアを出してもらいましたが、今年は“実現させる”という目標を設けました。ですので、建築物などハードから考えるのではなく、体験の中身(ソフト)から考えた方がすぐに形に残せるものができると思い、“体験×有休不動産”をテーマにしました」

今回は参加クリエイターたち15人が、現在は使われていない映画館や野球場などの遊休不動産を巡り、好きな場所を選んでそこで実現したい企画を出した。その中から関係人口創出につながり、実現可能性の高い企画として龍崎のHotel Questが選ばれた。
「龍崎さんはプレゼンで、“暮らすような体験ができる”といったコンセプトを話していました。これが実現すると、街の人にとっては“手伝ってくれる人”が来てくれることになるし、逆に旅行者は“普通の旅行では味わえない体験”ができて、すごくいいマッチングが生まれ続けるんじゃないと思いました」(栗林)
こうして実現したHotel Questは、今回の試験運用を経て運営改善し、中長期的により幅広いゲストを受け入れられる常設拠点の構築を目指す。今後は水星とCHOCOLATEの共同運営によって、持続可能なビジネスに育てていくという。
龍崎は「地域に新たな雇用をもたらすとともに、実際に地域に関わる関係人口増に寄与できることを期待しています。また、将来的には双葉町以外にも広げられるよう事業展開を目指していきたいと考えています」と展望した。