【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

2025.02.04 19:15

双葉町で「異日常」体験ができるホテル 水星の龍崎翔子が発案

「Hotel Quest」のクエストのひとつ「キウイ畑で開催する古着市を思い出に残したい」

「Hotel Quest」のクエストのひとつ「キウイ畑で開催する古着市を思い出に残したい」

東京電力福島第一原子力発電所を要する福島県双葉町は、2011年の東日本大震災による原発事故で約7000人の町民全員が避難生活を余儀なくされた。2022年に一部の避難指示が解除され、現在は約200人が暮らす。

そんな双葉町で今年1月、宿泊施設「Hotel Quest -浜のでいりぐち-」の試験運用が実施された。

手掛けたのは龍崎翔子が代表取締役CEOを務めるホテルプロデュースカンパニー水星。龍崎は、11月に同地で実施されたアイデアワークショップ「Hamadori Drawing Camp」(経済産業省「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」の一環)で企画を提案したところ採用され、約2カ月で実現した。

双葉町の個人邸の一部を借りて実現したHotel Quest 

Hotel Quest の特徴は、「異日常」を体験できること。宿泊客は、浜通り地域の人から出された多様な「Quest(クエスト)」からひとつを選び、お手伝い体験をする。クエストは、「薬局をDIYして、ライブができるコミュニティスペースをつくりたい!」「文化財の古民家での餅つき大会を、一緒に楽しみたい!」など、地域住民とともに取り組むものが主流だ。体験を通して地域への理解を深め、街の復興に貢献することもできる仕組みとなっている。

「ホープツーリズムで双葉町の伝承館を訪れる方は年間10万人以上いるそうですが、そのほとんどはいわきなどの他エリアで宿泊していると知り、このアンバランスさに突破口があるのではと感じました」(龍崎)

部屋には「クエスト」が描かれたカードが並ぶ

ワークショップで与えられた課題は「遊休不動産を活用して地域課題を解決するアイデア」。観光客が地域活動に参画する(お手伝いする)というステイエクスペリエンスを設計することで、復興に向けて手が足りない住民と、この地域に貢献したいと考えている人とのマッチングを実施した。龍崎はこれを「アーティスト・イン・レジデンスならぬ、ワーカーズ・イン・レジデンス」と表現する。
次ページ > クリエイティビティを刺激するような滞在体験を

文=田中友梨 写真=「Draw in FUTABA」提供(一部筆者撮影)

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事