優れた人材を低コストで雇用
ハマルはその後、オペレーションを契約スタッフに依存するモデルから脱却する必要性を感じるようになり、ネパールに拠点を設けることを思いついた。ちょうどその頃、彼が出会ったのが、同郷のネパール出身のラクスマン・バスネットだった。バスネットはドイツで教育を受けた後に、テクノロジー業界でキャリアを積み、2015年からドイツ企業の依頼を受けて、ネパールのEコマース企業を率いていた。バスネットをネパールオフィスの幹部に迎えたことで、SecurityPalは現地の優れた人材を低コストで雇用できるようになった。そして、2023年2月にはカトマンズに大規模なオペレーション拠点を開設し、今では現地で180人の正社員を雇用している。
2022年11月、OpenAI製チャットボットのChatGPTが公開されたときにハマルは、「これでうちのビジネスは終わるのか?」と思ったという。しかし、彼は瞬く間にSecurityPalのソフトウェアに生成AIツールを組み込む方法を考案し、AIと自動化を活用しつつも、人間のアナリストを監督役として配置することで、精度を損なうことなくプロセスを加速できるようにした。
一方、この分野の競争は激化しており、サンフランシスコを拠点とするVanta(ヴァンタ)のような包括的なコンプライアンス対応のスタートアップから、2023年に1250万ドル(約19億3500万円)を調達したConveyor(コンベイヤー)のような特化型ソリューションまで、多くの新興企業が独自の自動化ツールを提供している。
しかし、英文校正ツールGrammarly(グラマリー)最高顧客責任者のデービット・ファンは、自社でもAIのみを用いるソリューションを検討したが、現時点では信頼性に欠けると判断し、SecurityPalを採用したと述べている。「回答の妥当性を検証し、修正するにはまだ多くの人間の労力が必要だ」と彼は指摘した。
クラフトベンチャーズ幹部のビル・ハーマーは、「大手企業は、AIの幻覚が引き起こすリスクを負いたくないため、SecurityPalのようなAIと人間の専門知識を組み合わせたアプローチを好む。初めてこのサービスを見たとき、ずっと探し求めていたものがついに見つかったと思った」と語った。
ハマルによるとSecurityPalのサービスは、OpenAIに加えてCursor(カーソル)やLangchain(ランチェーン)などの最先端のAIスタートアップにも利用されているという。「大規模言語モデル(LLM)は、多少の進歩を遂げたが、結局のところ、現状ではまだ人間の判断が求められる」と彼は述べている。
SecurityPalは現在、AIを活用して顧客へのインサイトや推奨事項をより積極的に提供しようとしているが、人間の役割は依然として重要だ。同社は今年、カトマンズでさらに25~30人を新規採用する予定で、カンボジアやフィリピン、ベトナムにも拠点を設ける計画を進めている。
SecurityPalはまた、ネパール全土の高校や大学と協力し、セキュリティアナリストに必要なスキルを教えるためのカリキュラムを開発中だ。ハマルは、将来的に同社の社員たちが独自のスタートアップを立ち上げることを期待している。「このチームの中には、未来の創業者がたくさんいると確信している」と彼は語った。
(forbes.com 原文)


