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北米

2025.02.05 13:30

トランプ政権と「経営の理」:田坂広志「深き思索、静かな気づき」

Anna Moneymaker / Shutterstock.com

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第二期のトランプ政権が発足したが、現在、多くのメディアは、トランプ大統領が発する過激なメッセージに目を奪われ、振り回されており、中には、これから色々な「トランプ・マジック」が起こるかのような論調さえ目につく。
 
しかし、一人の経営者として、この政権の今後を予見するならば、トランプ大統領は、早晩、「組織経営」の点で、様々な混乱に直面するだろう。

なぜなら、経営とマネジメントには「物事は、こうすれば、必ずこうなる」という「理(ことわり)」があるからである。経営においては、その「理」を無視して、物事がうまく進むという「マジック」は無い。それは、国家組織の経営においても同様であり、むしろ、巨大組織であればあるほど、その「理」は「必然」となる。

それゆえ、トランプ大統領は、必ず、次の「三つの問題」に直面することになる。そして、これらの問題は、第一期のトランプ政権よりも、さらに過激かつ深刻な形で顕在化するだろう。

第一は、トランプ大統領と閣僚との軋轢。

第一期政権では、トランプ大統領は、彼に対して協調的に動く人物を閣僚に指名したが、この第二期では、イーロン・マスク氏やロバート・ケネディ・ジュニア氏のような人物を指名している。

筆者は、永年、色々な経営者と組織を見てきたが、ワンマン経営者が、時折、その能力を買って、個性と主張の強いワンマンタイプの人材を幹部にすることがある。しかし、こうした組織は、必ず、経営者とその人材の間に軋轢が生じ、組織が混乱し、経営がおかしくなる。それゆえ、第二期のトランプ政権も、同様の混乱に向かうだろう。
 
第二は、閣僚と配下組織の軋轢。

第一期では、トランプ大統領に従順ながら、それなりに政治経験があり、行政組織の運営経験のある人物で周りを固めたが、第二期は、彼には強い忠誠を誓うものの、政治の経験や行政組織の運営経験の乏しい人材が多く登用されている。

経営の世界では、経営トップが自分への忠誠心で幹部を選んでしまうことが、しばしば起こるが、その幹部が、配下の組織のマネジメントにおいて未熟で粗雑である場合、その幹部と配下組織の間で大きな軋轢が生まれ、組織が混乱し、その混乱の収拾に経営トップのエネルギーが奪われることになる。
 
それゆえ、優れた経営者やリーダーは、自身への表層的な忠誠心よりも、その幹部の統率力やマネジメント力を見て、幹部の選任を行うが、第二期のトランプ政権は、この点でも問題が多発するだろう。
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文=田坂広志

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