石油関連施設に対する攻撃は、ロシアの主要な歳入源を細らせ、継戦のための資金を枯渇させていくことを目指すウクライナの戦略の一環だ。
現時点では米国もその戦略に加担している。ジョー・バイデン前大統領は政権最後の2週間に、ロシア産の石油を運ぶタンカーなどに対する制裁強化にも踏み切った。これは中国やインドの買い手を遠ざけ始めている。
ドナルド・トランプ新大統領がこうした制裁を維持するのか、それとも解除するのか、あるいはさらに
強化するのかはまだ判然としない。20日に発足した第2次トランプ政権は当初から異例の混乱に見舞われており、ロシア・ウクライナ戦争での米国の新たな役割についても明確なビジョンを示せていない。トランプは就任前にこの戦争を1日で終わらせてみせると豪語していたが、実現できなかった。
注目に値するのは、トランプからロシア・ウクライナ担当特使に任命されたキース・ケロッグ退役陸軍中将がかねて、ロシアの「武器化」されたエネルギー産業に対する制裁強化を
主張してきたことだ。しかし、ケロッグの主張がそのままトランプ政権の政策に採り入れられる保証はない。
ウクライナは、ロシアのエネルギー産業を締め上げる戦略を米国が引き続き支援してくれるかどうかにかかわらず、ロシア国内の石油関連施設の破壊を続けていく決意を固めている。ウクライナ軍参謀本部は「ウクライナに対するロシアの武力侵攻を支援している戦略施設への攻撃は今後も続く」と予告している。
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forbes.com 原文)