アート

2025.02.08 12:00

プロダクトデザイナー深澤直人、米国初の個展で見せた「一貫性」

Naoto Fukasawa. Courtesy of the artist.

「シンプルさ」に隠されたもの

深澤がデザインするものの外見は、製品の本質を隠すかのようにシンプルだ。デザイナーであれば、そうした隠された特質に気が付くだろう。だが、トースターやエッグカップ、シンクといった何の変哲もない品々がなぜ美術館の展覧会で紹介されるのか理解するのは、素人には難しいかもしれない。
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Rice Cooker/ MUJI. Image courtesy of Muji

Rice Cooker/ MUJI. Image courtesy of Muji

だが、深澤にとってそれは、問題ではないようだ。「重要なのは、常に質が高く、美しく、象徴的であること、背景にあるアイデアに、ユーモアのセンスがあることです」と述べている。

「来場者の中には、展示されているものに込められたアイデアに共感したり、笑顔になったり、くすくす笑ったりする方が大勢います。多くの方たちが、デザインについて何か新しいことを発見されていると思います」

この展覧会に関して特に驚いたこととして、前出のファニングは、FAXで受け取った深澤のスケッチを展示できたことだとしている。外部からのアクセスが非常に困難である理由は「当然、理解できるもの」であり、「自らの作業方法を公開するデザイナーは多くない」ためだという。
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Hirushima Armchair / Maruni. Photography: Yoneo Kawabe

Hirushima Armchair / Maruni. Photography: Yoneo Kawabe

一方、深澤は約1年半に及んだこの展覧会の準備期間中、長く仕事をしてきたチームのメンバーとともに驚かされたこととして、次のように語っている。

「私は(およそ20年もの)長い間、何も大きく変えてはいないのだということに気づきました。一貫性を維持してきたのです。そのことを、とてもうれしく思いました。(この展覧会は)デザイナーとしての私の旅と、どれだけ前進してくることができたかを振り返る、素晴らしい機会になりました」

フィラデルフィア美術館で開催中の「Naoto Fukasawa: Things in Themselves」の会期は、2025年4月20日までとなっている。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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