国内

2025.01.31 13:30

地域とゼブラ企業をつなぐ共感投資でローカルヒーローを生みだす

Tadashi Okabe / Shutterstock.com

藤田豪:地域課題にフォーカスしつつも各地に事業が広がっているのが「KUROFUNE」(名古屋市)です。日本で働く外国人労働者の生活や、企業側の外国人の採用をサポートしています。もともと製造業が中心で外国人労働者の多い愛知県でスタートしていますが、地方を中心に人手不足はどこも深刻。同じような課題を抱える愛媛県や秋田県など各地の造船や発電所の現場でも導入され始めています。人口減少という大きな課題を抱え、国内外の労働者から選ばれる環境整備が求められる今の日本にどんぴしゃな事例だと思います。
柴田 裕◎1969年、秋田県横手市生まれ。2018年に、JR東日本のオープンイノベーションの「出島」として、JR東日本スタートアップを設立。スタートアップ×JR東日本により新規事業創出を目指す「JR東日本スタートアッププログラム」を通じてイノベーションの社会実装を進める。5年間で108件の実証実験を行い、51件を事業化。

柴田 裕◎1969年、秋田県横手市生まれ。2018年に、JR東日本のオープンイノベーションの「出島」として、JR東日本スタートアップを設立。スタートアップ×JR東日本により新規事業創出を目指す「JR東日本スタートアッププログラム」を通じてイノベーションの社会実装を進める。5年間で108件の実証実験を行い、51件を事業化。

柴田:僕が見ている東北地方は、人口減少、少子化、高齢化、担い手不足の超先進エリア。消滅可能性自治体のひとつになっている秋田県男鹿市には、地域に大きな変化を生んでいる「稲とアガベ」というスタートアップがあります。創業4年目で主な事業はクラフトサケの醸造ですが、レストランやゲストハウスをつくるなど、次々と新しい事業を立ち上げています。「街づくり、雇用づくり」を掲げる創業者の岡住修兵さんに共感し、男鹿に移住してくる若者たちもいるんです。
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藤田豪:起業家に限らず自治体の職員でもVCでも、たったひとりでいいので熱量をもったローカルヒーローがいれば、一気に地域は変わっていきますよね。

柴田:稲とアガべの新規事業のひとつ、ラーメン店は「一風堂」を展開する力の源ホールディングスとコラボしていますが、もともと秋田県内には一風堂の店舗はありませんでした。岡住さんのような強力なローカルヒーローが、共感の輪を広げ、多様な人や組織を巻き込んで地域に変化をもたらしています。

藤田圭:熱源の中心になるローカルヒーローが楽しそうに踊っているからこそ、周りがどんどん巻き込まれ、自分事化していくのだと思います。僕たちが今力を入れているのが「瀬戸内エリア」の定義をじわじわと拡張すること。瀬戸内と冠したイノベーターカンファレンス「BLAST SETOUCHI」を各地で開催するうちに、大分から和歌山まで12県ほどに定義が広がってきています。「瀬戸内の起業家を応援します」と言ったときに、当事者意識をもって応援してくれる関係人口、かかわりしろを増やしていきたいと思っています。
 
また東京と比較して、コミュニティの格差はとても大きいと感じます。そこで始めたのが、中高生に限定したアクセラレーションプログラム「ORANGE CAMP」です。都内のVCでインターンをしたり、起業したりする学生をメンターとしてつなぎ、悩みも含めて開示しながら学生同士の距離感を縮められることで、コミュニティが育ち、地元の中高生が都市部にアクセスしやすい環境が生まれている実感があります。近年はU25の投資先が伸びている印象があり、変化率も大きいと感じます。
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藤田豪:名古屋でもアントレプレナーシップ教育を機に中学生が起業するなど、変化を感じます。また、地域課題を解決するためには地方の起業家と、その起業家を資金提供者としてだけでなくメンターとして支えていけるベンチャーキャピタリストが必要ですが、どちらもまだ不足しているのが現状です。地方のVCを増やすため、25年から名古屋大学と一緒にベンチャーキャピタリスト創出講座を始めます。地方で育て、ほかの地域にも広げていきたいと思います。


KEYWORD 3:消滅可能性自治体
全国1729自治体のうち、20〜39歳の女性人口が2050年までの30年間で半減する市区町村を定義。24年4月の発表では744自治体が該当し、北海道と東北に多く見られる。

KEYWORD 4:若年層の起業

「中小企業白書2024」によると、29歳以下の起業者数は2022年は11.3万人であり、10年前の1.5倍に増えている。教育機関や支援機関がアントレプレナーシップ教育を推進している。

編集=督あかり イラストレーション=ベルンド・シーフェルデッカー

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