この記事を読んでいるほとんどの人にはロックダウンモードは必要ないだろう。実際、アップルも「ロックダウンモードを有効にするとデバイスは通常どおりには動作しません。高度に標的化されたスパイウェアによって悪用される恐れのある攻撃対象を減らすため、多くのアプリやウェブサイト、機能が厳しく制限され、場合によってはまったく利用できなくなることがあります」と警告している。これはiPhoneの使い勝手を著しく損なう。
筆者は以前から、ロックダウンモードが単なる追加のセキュリティ設定だという一部の記事に対して「国家レベルの攻撃を受ける恐れがあるなど、よほど特殊な事情がない限り、これは必要ない」と警告してきた。添付ファイル機能の無効化やウェブ閲覧の制限、共有フォトアルバムのブロックなど、大きな制約が生じるためだ。
他方、グーグルのAPPはより広い層、とりわけビジネスユーザーにとって有用だと考えられる。AndroidのほうがiPhoneよりもリスクが高いとされるだけに、このような新機能はリスク格差低減の重要な手段になる。パスキーによるアクセスやアカウントデータの制限、サイドローディングのブロックといった取り組みは、これまでiPhoneがAndroidよりも安全とされてきた領域でもある。
Android 15はセキュリティとプライバシー面で優れたアップデートだったが、Android 16はさらにこれを強化するようだ。これは歓迎すべき傾向である。もう1つの重要なテーマは企業向けのアピールであり、Androidでも徹底的なロックダウンが可能であることを示す点にある。サムスンが「iPhoneから乗り換える25の理由」で強調しているように、企業による管理とデバイスのロックダウン機能は中核的な要素といえる。
したがって、ほとんどのiPhoneユーザーに対してはロックダウンモードを有効にしないよう勧めるが、Androidユーザーに対しては、最終的な細かい条件を踏まえた上で、高度な保護モードが利用可能になった際には有効化を検討するよう推奨したい。
(forbes.com 原文)