課題は有料ユーザーの獲得
現在、Tealのサービスには、履歴書の作成支援や求人マッチング、AIを用いた面接の準備、給与や福利厚生の比較などが含まれている。利用登録者数は昨年100万人に達したが、その多くは無料プランの利用者だ。Tealの2024年度決算における収益は420万ドル(約6億5000万円)で、まだ黒字化を果たしていない。AIを用いたキャリアコーチングの分野は、昨年から人気が高まったが、まだ比較的小規模だとされている。ガートナーのHR部門が8月にフォーブスに語ったところによれば、この分野はまだ独立して測定するには小さすぎるという。また、この分野は主に雇用主向けのサービスが支配的で、複数のスタートアップがAIツールをパッケージ化し、企業向けに提供している。
Tealは今後、無料プランの利用者の多くが、有料サービスに移行し、面接の準備やキャリアコーチへの投資を、他の候補者との差別化の鍵することを期待している。別の求職支援のAI企業、EarnBetter(アーンベター)の調査によると、同社の無料ユーザーの25%が求職サービスにお金を払う意思を持っているという。また、有料ユーザーの37%が求職サービス全般に100ドルを費やし、10%が500ドル以上を支出していた。
Tealが今、直面している課題は、有料サービスに移行する意志を持つ顧客を見つけることだ。顧客の大半は、履歴書の作成支援や求人の追跡が無制限にできる一方で、AIの活用が制限されている無料プランを利用している。ファノによれば、登録後の24時間以内にプレミアムプランに移行するユーザーは、全体の5%程度だという。有料プランの費用は週あたり9ドルで、分析ツールやメールのテンプレートが追加されるほか、新たなAI面接のツールや求人比較ツールが利用可能だ。
「消費者向けのAIアプリケーションを収益化するのは困難な道だ」とTealに出資するLerer Hippeauのマネージングパートナー、ベン・ラーラーは認めている。特に、ChatGPTのような無料の選択肢や、雇用主が提供する無料のプラットフォームと競合する場合はなおさらだ。
「このカテゴリは、消費者が有料サービスに慣れている分野ではありません」と彼は言う。「だからこそ、顧客に有料でも利用したいと思わせるサービスには、高いクオリティが求められるのです」とラーラーは語った。
(forbes.com 原文)