地理的な隔離
リーバーマンによると、生物個体群が十分長期にわたって他の生物種と地理的に離れていると、分化して新種を形成する可能性が高くなる。これには数百年から数万年の時間を要する可能性があるという。だが、急速な進化にはマイナス面がある。
リーバーマンによると、種分化の速度が大きい生物群は急速に進化する。だが、大きな種分化速度はほぼ必ず、大きな絶滅速度を伴う。なぜなら、種分化や地理的隔離を引き起こすのと同じプロセスが絶滅にもつながるからだと、リーバーマンは説明する。
『マクロ進化』の著者らの目的は、グールドに敬意を表するだけでなく、長期的な社会および文化の視点から地球の生命史を考察することだ。その考察の中で著者らは、時に奇妙とさえ思えることだが、地球での種分化と絶滅の歴史と、米国の株式市場の予測のつかない変動との間の共通点を見出している。
リーバーマンによると、1968年~2008年の40年間のラッセル3000株式指数(米上場企業の上位3000社の株式指数)における株価実績を調べると、株価変動率の大きさが上位20%の株は、株価パフォーマンスが極めて悪かった。それに対し、株価変動率が下位20%の株は、株価があまり変動せず、パフォーマンスが極めて良い傾向が見られるという。
どうして金融危機は大量絶滅に似ているのだろうか。
リーバーマンによると、株式市場の暴落時、株価下落の確率はかなり高くなり、株価変動率が高い株は、大幅に下落する可能性がはるかに高くなる。株価がゼロになると、その企業は倒産となるが、これは生物学的な絶滅に相当するという。進化の観点からすると、生物群が長期的に繁栄するためには、ゆっくりと着実が最善の戦略だと、リーバーマンは説明した。
たとえそうであっても、生命には後押しが必要となる場合が多い。
化石記録に保存された生命の歴史の研究から、生命が「後押し」を得て初めて著しい進化が起きることがわかっていると、リーバーマンは指摘する。ほとんどの場合、この後押しは環境の変化であり、この変化が原因で生物種の個体群が移動することになるという。
これにより特定の生物種の地理的な生息範囲が拡大するか、または縮小・断片化する。
リーバーマンによれば、生物種の生息範囲が縮小・断片化すると、その生物種は特に絶滅の危険性が高くなるが、また同時に新しい種に進化する可能性がより高くなる。
結局のところ、新著『マクロ進化』の最大の成功要因は、天体物理学的事象と気候による環境変化の両方により、地球の生命がどのように影響を受けてきたかに関する洞察を与えてくれる点にある。


