ボスパーの共同創業者でプリンシパルを務めるカーティス・スパラーは、今回の調査結果を踏まえて、「在宅勤務の方がうまくいく。特に企業の収益にとっては」と主張している。「建物ではなく人材に投資することで、労働力とビジネスの規模を無理なく拡大できる」
スパラーはさらに、リモートワークは、オフィス全体の病欠を減らすことができると述べている。伝染病を持ち込む「腸チフスのメアリー」が、オフィスにやってくることがないからだ(「腸チフスのメアリー」は、世界で初めて臨床報告されたチフス菌の健康保菌者で、1900年代初頭にニューヨーク市周辺で散発した腸チフスの原因になった女性のこと)。
しかも、それだけではない。スパラーは次のように述べる。「私たちの調査では、95%の従業員が、在宅勤務でもオフィス勤務と同等以上の生産性を実現しており、61%が生産性の向上を報告している」
「次に、人材という観点がある」とスパラーは続ける。「最も有能な人材は、オフィスに縛り付けられることを望んでいない。彼らは、自分のことを自分で決めたいと考えている。実際、63%の人が、リモートワークの選択肢がない仕事に応募する可能性は低いと述べている。リモートワークの選択肢は、従業員のウェルビーイングや満足につながる。81.4%の人が、ワークライフバランスの改善を報告しており、これは一般的に、定着率の向上や燃え尽きの低下と相関がある」
スパラーはまた、オフィス復帰を義務づけることで、企業は顧客を失うリスクがあると指摘している。73%の消費者が、フルタイムのオフィス勤務を求める企業から購入する可能性は低いと述べている。さらに、過半数(60%)の消費者が、環境保護の観点から、リモートワークを推奨する企業を高く評価している。「私たちのデータは最終的に、リモートワークは単なる従業員の希望ではなく、ビジネス上の必須事項になりつつあることを示唆している」
ほかの調査結果も、ボスパーのデータを裏付けている。Owl Labs(アウル・ラボ)の2024年版リポート『ハイブリッドワークの現状』では、米国のフルタイム労働者2000人を調査し、従業員が最も重視していること、2025年に企業が優先すべきことについてのインサイトを提供している。
まず、従業員は給与と並んで、「青信号の上司(green flag boss:健康的な職場環境を推進しようとする上司)」の存在が重要だと考えている。一方で、「自社のハイブリッドワーク計画は、自分の希望に合っている」と回答した従業員はわずか33%だった。