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経済・社会

2025.02.11 21:21

歴史の周期的な波間に「日本のチャンス」が見える:トランプの時代

(Photo by Anna Moneymaker/Getty Images)

いったん失われた製造業の技術は、関税障壁を設けて保護主義を始めても戻ってきません。時間と手間の賜物が技術だからです。

次に下の図を見てください。PBR(株価純資産倍率)の35年の推移です。日本のバブル期やアメリカのITバブル期に最高水準の4.2~4.5倍をつけています。足元では、アメリカが4.5倍の最高水準近傍にある一方、日本はまだ1.2倍と極めて割安です。

米中が関税障壁を設けて争っている今、日本の伸びしろは非常に大きい。ひとつは環境技術です。日本政府が、中国を除くアジア各国やオーストラリアと「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」を構築したところ、各国が環境技術やシステム構築で日本企業とMOAを締結。脱炭素技術で日本がイニシアティブを取っています。

もうひとつが産業用ロボットです。世界の産業用ロボットの5割以上が日本で生産されているうえ、人口あたりの産業用ロボットの稼働台数は日本が世界1位、ロボット関連の特許出願数は世界2位です。OECD各国の生産者人口が減少に転じて、働き手が減っている今、産業用ロボットのニーズは高まっています。また、アメリカのように製造業を捨てた国が、製造業に回帰するにはロボットが必要です。

つまり、統合と分裂を繰り返す世界の波の合間に、日本の得意分野に出番がある。私はそう考えるのです。


あべ・しゅうへい◎1954年生まれ。野村総合研究所を経て、85年にアベ・キャピタル・リサーチを設立。89年にスパークス投資顧問(現スパークス・グループ)を設立し、代表取締役社長に就任(現任)。2012年より国際協力銀行(JBIC)リスク・アドバイザリー委員会委員を務める。

文=フォーブス ジャパン編集部

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