ネットポジティブ企業を支える5つの基本原則
基本原則1|自社が世界に与える影響に責任をもつポルマンは著書『Net Positive 「与える>奪う」で地球に貢献する会社』の中で、「責任──それが普通の企業とネットポジティブな企業を分ける中心的な要素だ」と記載している。現行の株主資本主義モデルは明らかに責任を負わず、汚染や格差などの問題を「人ごと」とみなすことで、多大な利益を企業にもたらしている。したがって、責任を負うことが最初の一歩としている。
基本原則2|より長期的な視点をもつ
ふたつ目は、あらゆる時間軸で好結果を目指しながら、より長期的な視点をもつことだ。ポルマンがCEO在任時の10年間は、売り上げ、利益が毎年増加している。この真意は、企業と社会の長期的ベネフィットのために活動し、長期的な価値の創造を求め、単年で大きな目標達成を狙うのではなく、一貫した取り組みによる複合的効果を得るために毎年投資し続けることが重要であることを意味する。
基本原則3|複数のステークホルダーに貢献し、そのニーズを優先する
ネットポジティブ企業がステークホルダーのニーズを最優先するのは不思議なことではない。どの企業も顧客のニーズを満たし、顧客の暮らしをよくするために存在する。この理屈を発展させ、従業員や地域社会の繁栄にも手を貸せないか、と考えてみることも中心的な原則だ。「ポジティブ」とはステークホルダーに最もよい影響をもたらすことを意味するからでもある。
基本原則4|他社との協業や社会変革を受け入れる
あらゆるステークホルダーに結果の改善をもたらそうとしても、結果を特定・理解し、責任を負わなければ改善しない。だが、自社だけで責任をかぶる必要も、すべてを進める必要もない。単独で取り組めば自社の事業が抱える問題の30〜40%を解決できるかもしれないが、100%の解決のためには大本のシステムを変えなけばならない。システミックな変革を推進するためにはパートナーとの協業が必要だ。
基本原則5|それらすべての結果として、株主に確かなリターンを提供する
「目標ではなく結果として、株主価値を高める」ことを意味する。そして、短期重視の圧力から逃れる最善の方法として、ユニリーバで行った四半期決算発表の中止も提言。これら5つの基本原則を絶対に譲れない条件とすることで、世界的な企業が人類のためにより多くの価値を想像することができる。直面する問題が大きいからこそ、企業、経営者は今までとは違うレベルで行動を起こし、ベストを尽くさなければならない。
ポール・ポルマン◎元ユニリーバCEO。IMAGINE共同設立者兼会長。自身が策定をサポートした国連グローバルゴールズ(SDGs)を達成するため、企業によるアクションを加速させようと尽力。2009年から18年までユニリーバCEOを務めた。共著書に『Net Positive 「与える>奪う」で地球に貢献する会社』(日経BP)がある。


